こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は、「親知らずの生え方」についてお話ししてみようと思います。
「親知らず=抜歯」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実は親知らずって、生え方にもいろんな個性があるんです。そして、見た目には「まっすぐ生えている」ように見えても、実はトラブルの原因になっていることも……。
「私の親知らずは大丈夫かな?」
そんな疑問に少しでもお答えできればと思い、今回のテーマを選びました。
親知らずの“個性”とは?まっすぐ生えていればOK?
親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれ、上下左右の一番奥にある歯です。
20代前後で生えてくることが多いのですが、他の歯と違って、生える時期や角度、状態にとてもばらつきがあります。
たとえば──
骨の中に完全に埋まったまま(埋伏歯)
横や斜めに生えて、手前の歯にぶつかっている
一部だけ歯ぐきから顔を出している
まっすぐ生えて、しっかり咬んでいるように見える
などなど、人によってまさに“十人十色”。
「私の親知らずは、ちゃんと生えてるし、痛くないから大丈夫でしょ?」
そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、実はこの「まっすぐ見える親知らず」にも注意が必要なんです。
まっすぐ生えていても起こるトラブル
一見まっすぐ生えていても、親知らずが原因で以下のような問題が起こることがあります。
1. 奥歯とのすき間が磨きにくく、虫歯や歯周病に
親知らずの前にある第二大臼歯との間が狭いと、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすくなります。その結果、手前の健康な奥歯が虫歯になってしまうケースも……。
2. 見えない“根っこ”が曲がっている
外から見るとまっすぐでも、実は歯の根っこが曲がっていたり、複雑な形をしていることがあります。
これが将来的に炎症のリスクにつながることも。
3. 噛み合わせや顎関節に影響することも
親知らずが少しずつ位置をずらして、他の歯を押したり、かみ合わせを乱したりするケースも。長年かけて少しずつ症状が出てくることがあるので、注意が必要です。
どの生え方なら抜歯が必要?判断のポイント
「じゃあ結局、抜いたほうがいいの? 残せるの?」
このあたりは、実際に診てみないと分からない部分も多いのですが、いくつ目安となるポイントがあります。
親知らずが他の歯に悪影響を与えている(押している、虫歯がある など)
炎症や痛みが繰り返し起こる
周囲の歯ぐきが腫れやすい
将来的にトラブルの可能性が高い
逆に、「しっかり生えていて、清掃もできていて、噛み合わせにも問題がない」のであれば、無理に抜かず経過をみることもあります。
私たちのクリニックでは、長年の経験と診査によって、患者さん一人ひとりの状態をしっかり見極めることを大切にしています。
痛みが出る前に、「親知らずって実際どうなってるの?」という軽いご相談でも大歓迎です。
「いつか」は突然にやってくる?
親知らずのトラブルは、「ある日突然」やってくることも多いです。
たとえば旅行中に急に腫れて痛くなったり、大事な仕事の前に炎症が出たり……。
そうなる前に、「今どうなってるか?」を知っておくことは、とても大切です。
特に20代〜30代のうちに、親知らずの状態をチェックしておくことで、将来の不安を減らすことができます。抜歯が必要な場合でも、若いうちのほうが治りも早く、トラブルも少ない傾向にありますよ。
まとめ:あなたの親知らずも“個性派”かも?
親知らずは一人ひとりに合った対応が必要な、まさに“個性派の歯”。
「見た目はまっすぐ」でも、内側では問題を抱えていることもあります。
気になる方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。無理な抜歯を勧めるのではなく、「今の状態」「今後のリスク」などを丁寧にお話しさせていただきます。
次回は「親知らずと妊娠・授乳の関係」についてもお話しする予定です。どうぞお楽しみに!
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)