親知らず抜歯後、痛みが長引くとき・・・

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こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、「親知らずを抜いてしばらく経ったけど、まだ痛みが残っている」「なんだか治りが遅い気がする…」と感じている方へ向けて、抜歯後の痛みについてのお話をしていきます。

親知らずの抜歯は、処置自体も体への負担がありますが、実は「抜いた後」も大事な時期。通常は数日~1週間ほどで痛みは落ち着いていきますが、人によってはその後もズキズキと痛みが続く場合があります。今回は、その「長引く痛み」の原因や対処法について、わかりやすく解説していきます。


抜歯後の痛み、どのくらい続くのが普通?

まずは、親知らずを抜いた後の「一般的な経過」を確認してみましょう。

抜歯直後は、麻酔が切れるとともに痛みが出てきます。これは自然な反応で、多くの方が鎮痛剤を服用して過ごされます。この痛みは、通常2~3日をピークにして、その後徐々に和らいでいきます。おおよそ1週間ほどで「ほとんど気にならない」状態になる方が多いです。

ただし、歯ぐきを大きく切開したり、骨を削ったりするケース(たとえば、横向きに埋まっている親知らずなど)では、もう少し長く痛みが続くこともあります。2週間くらいは「まだちょっと違和感があるな」という方も少なくありません。


それでも痛みが治まらない…どんな原因が考えられる?

では、1週間~2週間経っても痛みが強く残っている場合、どんなことが原因として考えられるのでしょうか?

① ドライソケット(抜歯窩乾燥症)

もっとも多い原因のひとつが「ドライソケット」と呼ばれる状態です。これは、抜歯した穴(=抜歯窩)にできるはずの血のかさぶたがうまくできず、骨が露出したままになってしまうトラブルです。

ドライソケットになると、ジンジンするような痛みが長引いたり、口を開けると痛んだり、周囲の歯や耳のあたりまで痛みが広がることもあります。とくに下の親知らずを抜いた後によく見られます。

痛み止めだけではコントロールしきれないこともあり、再度の処置や洗浄が必要なこともあります。もし「抜いたところがずっとズキズキ痛む」「何日たっても全然よくならない」と感じたら、早めに歯科医院に相談してみてくださいね。

② 感染による炎症(化膿)

抜歯後の傷口に細菌が入り込むと、腫れや強い痛みが出てくることがあります。こちらは、いわゆる「化膿している状態」で、膿がたまっていたり、周囲の歯ぐきがぷくっと腫れてきたりすることもあります。

このような状態では、抗生物質の服用や消毒が必要になる場合があります。自己判断で放置してしまうと、腫れが広がったり、顎の関節にまで影響が出ることもあるので注意が必要です。

③ 神経への刺激や一時的な損傷

とくに下の親知らずの近くには、「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という大きな神経が通っています。抜歯の際、この神経に近い位置で処置を行うと、術後に「しびれ」や「鈍い痛み」が続くことがあります。

このような症状は一時的なことがほとんどで、時間の経過とともに回復していきます。ただし、長引く場合は歯科医師による経過観察が必要になるため、不安がある場合はご相談ください。


痛みが長引かないために、気をつけたいこと

抜歯後にスムーズに治るためには、ご自身でのセルフケアもとても大切です。以下のようなポイントに気をつけてみてくださいね。

抜歯当日は激しい運動や飲酒を控える

傷口を舌や指で触らないようにする

うがいはやさしく、強くすすぎすぎない

喫煙は控える(喫煙はドライソケットの原因になります)

処方されたお薬(痛み止めや抗生剤)は指示通りに服用する

そして何より、「不安なときは我慢せず、気軽に相談する」ことが大切です。私たち歯科医院は、抜いたあとも安心して過ごしていただけるようサポートします。


抜歯後のチェックも大切に

親知らずの抜歯は一度きりのことに思われがちですが、実は「抜いたあとの経過観察」がとても重要です。どんなに丁寧に処置をしても、体の反応や治り方には個人差があるため、時には予期せぬトラブルが起こることもあります。

当院では、患者さまお一人おひとりの経過を見ながら、必要があれば洗浄処置やお薬の調整も行っております。もちろん、「ちょっと気になるんだけど…」というレベルのご相談でも大丈夫です。ぜひ、お気軽にお声がけくださいね。


まとめ

今回は、親知らずの抜歯後に「痛みが長引くときに考えられること」についてお話ししました。

トラブルが起きても、きちんと対応すればほとんどが改善していきますので、焦らず、無理をせずに過ごしていただければと思います。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)