ドライソケットって何?

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ドライソケットって何??

こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、親知らずの抜歯後にまれに起こるトラブルのひとつ、「ドライソケット」について詳しくご説明していきたいと思います。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、抜歯後に強い痛みが続く原因として知られており、事前に知っておくことで予防や早期対処が可能になります。親知らずの抜歯をご検討されている方や、すでに抜歯後の痛みに不安を感じている方にとって、少しでもお役に立てば幸いです。


■ ドライソケットとは?

ドライソケット(Dry Socket)は、正式には「抜歯窩治癒不全」や「乾燥性抜歯窩」とも呼ばれる状態で、親知らずの抜歯後に起こる合併症のひとつです。

通常、歯を抜いた後は、その穴(抜歯窩)に血の塊(血餅:けっぺい)ができ、それがかさぶたのような役割を果たして、傷口を保護しながら少しずつ骨や粘膜が修復されていきます。

ところが、何らかの理由でこの血餅が剥がれてしまったり、うまく形成されなかったりすると、骨がむき出しのままになってしまい、強い痛みを引き起こします。これがドライソケットです。


■ どんな症状が出るの?

ドライソケットの主な症状は、抜歯後2〜3日経ってから強い痛みが再び現れることです。抜歯直後は痛みが軽くても、その後にズキズキと響くような痛みが生じるのが特徴です。

痛みは通常の抜歯後のものよりもかなり強く、鎮痛薬が効きにくいこともあります。また、口臭や、抜歯した穴が空洞のままのように見える、という状態もよく見られます。

このような痛みがあると、患者さんは「なぜ痛みがぶり返したの?」と不安になることも多いです。


■ なぜドライソケットが起こるの?

血餅が失われる原因には、いくつかの要因があります。

・うがいをしすぎて血餅が流れてしまった
・喫煙により血流が悪くなった
・抜歯部を舌で触ったり、指でいじったりした
・飲酒や激しい運動によって血圧が上昇し、血餅が取れてしまった

特に抜歯後すぐの時期は、血餅が非常にデリケートな状態なので、注意が必要です。


■ どうすれば予防できる?

ドライソケットを予防するためには、抜歯後のセルフケアがとても重要です。

・うがいは必要最低限にとどめる(特に強くブクブクしない)
・指や舌で傷口に触れない
・当日は安静にし、激しい運動を避ける
・喫煙・飲酒は控える(最低でも2〜3日間)

歯科医院から指示がある場合は、必ず守るようにしましょう。シンプルなようでいて、この注意事項をきちんと守ることが、ドライソケット予防には一番効果的です。


■ もしドライソケットになってしまったら?

万が一ドライソケットになってしまった場合でも、慌てずに対処することが大切です。

まずは早めに歯科医院を受診しましょう。

状態に応じて、抗菌薬の処方や、抜歯窩を保護するお薬の塗布、洗浄などの処置を行います。

自然治癒も可能ですが、適切な処置をすることで痛みを早く和らげ、治癒を促進することができます。放置すると痛みが長引くこともありますので、我慢せず相談することをおすすめします。


■ ドライソケットは「よくあるトラブル」?

ドライソケットは、誰にでも起こり得るものではありません。

特に、下あごの親知らずを抜いた場合に発症しやすいとされていますが、発生率はおおよそ2〜5%程度といわれており、必ず起こるというわけではありません。

それでも、術後の過ごし方次第で予防できるトラブルでもあるため、患者さんのちょっとした意識が予後を大きく左右します。


■ まとめ:適切なケアでトラブルを防ごう

ドライソケットは、親知らずの抜歯後に起こりうる代表的なトラブルのひとつですが、正しい知識とケアでしっかりと予防・対応ができます。

抜歯後の違和感や痛みがいつまでも引かない、だんだん強くなってくる…そんなときは、遠慮なくご相談ください。

当院では、安心して治療を受けていただけるよう、術後の不安にも丁寧に対応するよう心掛けております。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)