こんにちは。仙台市青葉区の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
最近「口の中が乾きやすい」「前より唾液が少ない気がする」と感じたことはありませんか?
実は、**口の乾き(ドライマウス)**はただの不快感だけでなく、歯周病のリスクを高めるサインでもあります。
今回は、ドライマウスと歯周病の意外な関係について、やさしく解説していきます。
1. ドライマウスってどんな状態?
(1)唾液の量が減る
ドライマウスは、正式には「口腔乾燥症」とも呼ばれます。
- 「口の中がネバネバする」
- 「水分がないと話しにくい」
- 「口臭が気になる」
こんな症状が出ている方は、唾液量が減っているかもしれません。
(2)なぜ唾液が減るの?
- 加齢(50代以降に増加)
- 薬の副作用(降圧剤・抗うつ薬など)
- ストレスや緊張
- 更年期やホルモンバランスの変化
- シェーグレン症候群などの病気
さまざまな原因で唾液量は減ってしまいます。
2. 唾液の役割って?
唾液には実はとても多くの役割があります。
- 食べかすを洗い流す「自浄作用」
- 酸を中和する「緩衝作用」
- 抗菌成分による「細菌コントロール」
- 歯の再石灰化を助ける「ミネラル補給」
つまり、唾液はお口の健康を守る“天然の万能薬”のような存在です。
3. ドライマウスと歯周病の関係
(1)プラークがたまりやすくなる
唾液の量が減ると、口の中の細菌や食べかすを自然に洗い流す力が弱まります。その結果、歯垢(プラーク)がたまりやすくなり、歯周病菌が増殖してしまうのです。
(2)細菌の増殖を抑えられない
唾液には抗菌作用があります。唾液が少ない状態では、歯周病菌やむし歯菌が増えやすい環境になります。
(3)口臭の悪化
ドライマウスの方が「口臭が強くなった」と感じるのは珍しくありません。これは、細菌の増殖と唾液の減少が大きな原因。歯周病と口臭はセットで起きやすくなります。
(4)歯ぐきの炎症が進行しやすい
唾液が減ることで歯ぐきへの栄養供給や血流も悪くなり、炎症の治りが遅くなるとも言われています。
4. ドライマウス対策で歯周病を防ごう
(1)こまめな水分補給
水やお茶などカフェインレスの飲み物をこまめにとることで、お口の中の乾燥感を和らげます。ただし甘い飲み物は逆効果ですので注意。
(2)よく噛んで唾液を出す
食事の際は、よく噛むことで唾液腺が刺激されます。ガム(キシリトール入り)を噛むのも効果的です。
(3)お口のマッサージ
- 頬の内側を指でやさしく押してマッサージ
- 耳下腺・顎下腺あたりを円を描くように刺激
これにより唾液分泌が促され、乾燥感が和らぎます。
(4)保湿剤やスプレーの活用
市販の口腔保湿ジェルやスプレーを寝る前に使うのもおすすめです。乾燥が強い方は歯科医院で相談してみましょう。
(5)禁煙・節酒
タバコや過度なアルコールは唾液分泌を減らし、口腔乾燥を悪化させます。生活習慣の見直しがドライマウス改善にもつながります。
(6)定期的な歯科チェック
ドライマウスの方は歯石やプラークがつきやすい=歯周病リスクが高い状態です。定期的な歯科検診で早めに対策をすることが大切です。
5. 歯科医院でできるドライマウス対策
- 唾液分泌量のチェック
- 歯周病検査とクリーニング
- 保湿剤や洗口液の処方
- ブラッシング指導(乾燥している人向けの工夫)
プロのサポートを受けることで、より安心して対策できます。
6. まとめ
口の中が乾く「ドライマウス」は、放置すると歯周病のリスクを高めるだけでなく、むし歯や口臭の原因にもなります。
大切なのは、
- 水分補給
- よく噛む習慣
- 口腔保湿
- 定期的な歯科チェック
というシンプルな習慣です。
「最近乾燥してきたな」と感じたら、それはお口からのサインかもしれません。早めにケアして、健康な歯ぐきを保ちましょう。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年9月現在)