口腔内の“腫瘍”ってどんなもの?

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こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、口腔外科で扱うことのある少し専門的なお話、「口腔内の“腫瘍”ってどんなもの?」というテーマでお話していきます。

「腫瘍(しゅよう)」という言葉を聞くと、どうしても「がん」「悪性」といったイメージを持たれる方も多いかもしれません。でも実際には、腫瘍には良性のものもたくさんあり、早期に発見・対応できれば、大きな問題にならずに済むことも多いんです。

この記事では、口腔外科の視点から「口の中や顎にできる腫瘍」について、わかりやすく解説していきます。


そもそも「腫瘍」って何?

腫瘍とは、体の組織が異常に増殖した結果できる“できもの”のことです。口の中や顎の骨にも、腫瘍ができることがあります。

大きく分けて、「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(=がん)」があります。

  • 良性腫瘍:ゆっくり成長し、他の組織に浸潤したり転移することはありません。
  • 悪性腫瘍(がん):周囲の組織に入り込んで広がり、遠くの臓器に転移する可能性があります。

口腔外科では、どちらも診断・治療の対象になります。


よく見られる良性腫瘍

まずは、口腔内でよく見られる良性腫瘍をいくつかご紹介します。

● 線維腫(せんいしゅ)

歯ぐきや舌、頬の内側などにできる、弾力のある小さなふくらみ。頬を噛んでしまったあとや、歯の詰め物・入れ歯がこすれてできることも。

● 血管腫(けっかんしゅ)

赤や紫色の見た目をしており、舌や唇によく見られます。血管が異常に増えた状態で、触るとふにゃっとした感触があります。

● 粘液嚢胞(ねんえきのうほう)

唾液腺の出口がつまって、唾液がたまってできる水ぶくれのような腫れ。主に下唇の内側にできます。

これらは、ほとんどが良性で、外科的に切除すれば再発の可能性も低いです。


悪性腫瘍(がん)もある

口の中にも「がん」ができることがあります。代表的なのは「舌がん」や「歯肉がん」など。

悪性腫瘍の特徴としては、

  • ゆっくり大きくなっていく
  • 表面がただれている
  • 出血しやすい
  • 治りにくい潰瘍がある

などが挙げられます。

もし上記のような症状があり、2週間以上治らない場合は、必ず歯科や口腔外科を受診してください。


顎の骨の中にできる腫瘍や嚢胞

腫瘍は歯ぐきや舌などの粘膜だけでなく、顎の骨の中にもできます。たとえば:

  • 歯原性腫瘍(しげんせいしゅよう):歯のもとになる組織から発生
  • 含歯性嚢胞(がんしせいのうほう):親知らずなど埋まっている歯の周囲にできる嚢胞

レントゲンで偶然発見されることも多く、痛みや腫れが出てから気づくケースもあります。

こういった病変も、進行すると骨を溶かしたり、歯並びやかみ合わせに影響を与えることがあるため、外科的な処置が必要になることがあります。


どうやって診断するの?

口腔内の腫瘍を正確に診断するには、

  • 視診・触診
  • レントゲン撮影
  • 必要に応じてMRIやCT
  • 組織を採って検査する「生検(せいけん)」

などを組み合わせて行います。

特に、見た目で良性・悪性の判断がつかないケースでは、生検がとても重要です。

私たちのクリニックでは、日常的に目にする粘膜の異変にも注意を払いながら、必要に応じて高次医療機関と連携し、迅速な対応を心がけています。


まとめ:気になるできものは、自己判断せずご相談を

口腔内にできる腫瘍は、多くが良性ですが、中には早期発見が重要な病気もあります。

「なんだかできものがあるけど、痛くないから様子見で…」と放っておくのではなく、 「ちょっと気になるから診てもらおうかな」という行動が、ご自身の健康を守る大きな一歩になります。

気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)