口腔外科で扱う“腫瘍”ってどんなもの?

 |  |  | 0

 

 

こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長  前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、「口腔外科で扱う“腫瘍”ってどんなもの?良性と悪性の違いとは?」というテーマでお話していきます。

「腫瘍(しゅよう)」と聞くと、「がん」や「悪い病気」という印象を持たれる方が多いかもしれません。

でも実は、口の中にできる腫瘍には“良性”のものも多く存在し、必ずしも恐れる必要はない場合もあります。

今回は、口腔外科で扱う腫瘍にはどのようなものがあるのか、良性と悪性ではどう違うのか、そして治療はどんなふうに進められるのかなど、できるだけわかりやすくご紹介していきます。


「腫瘍」ってどういうもの?

まず、「腫瘍」とは何かを簡単に説明します。

腫瘍とは、体の中の細胞がなんらかの原因で異常に増殖してできる“かたまり”のことです。口の中にできた場合は「口腔腫瘍」と呼ばれ、頬の内側、舌、唇、歯ぐき、顎の骨など、さまざまな場所に生じます。

腫瘍には大きく分けて2種類があります。

● 良性腫瘍

・比較的ゆっくり成長する ・周囲の組織にしみ込んだり、転移したりしない ・切除すれば再発は少ない

代表的な良性腫瘍には、線維腫、脂肪腫、血管腫、骨腫などがあります。

● 悪性腫瘍(がん)

・急速に大きくなる ・周囲の組織に広がる(浸潤) ・体の他の部位に転移する可能性がある

口の中にできる代表的な悪性腫瘍は「口腔がん(特に舌がん)」です。


よく見られる口腔内の腫瘍

■ 線維腫(せんいしゅ)

歯ぐきや舌、頬の内側などにできる小さな「こぶ」のような腫瘍です。慢性的な刺激(入れ歯や頬の噛みしめ)でできることが多く、痛みはありません。

■ 血管腫(けっかんしゅ)

舌や唇にできることが多く、赤紫色〜青っぽい見た目が特徴。触れると少しやわらかく、出血しやすいこともあります。

■ 粘液嚢胞(ねんえきのうほう)

唇の内側などにできやすく、唾液腺の管が詰まったり傷ついたりすることで発生します。水ぶくれのような見た目で、再発することもあります。


「悪性腫瘍(口腔がん)」とは

舌、歯ぐき、頬粘膜、口蓋(上あご)などにできるがんの総称を「口腔がん」と呼びます。とくに舌がんが多く、初期はただの口内炎と見間違いやすいのが厄介な点です。

早期に発見できれば治癒率は高いのですが、進行してしまうと手術や放射線治療、抗がん剤治療など、身体的負担の大きな治療が必要になることがあります。


良性と悪性、見た目で判断できる?

「このできもの、見た目だけで判断できないの?」と思われるかもしれませんが、実は素人目では判断がとても難しいのが現実です。

小さな腫瘍でも、良性なのか悪性なのかは見た目だけではわからないことが多く、正確な診断には、以下のような検査が必要です。

  • 視診・触診
  • レントゲン
  • CT
  • 細胞診(こすって採取)
  • 生検(組織の一部を採取して検査)

腫瘍の治療法について

腫瘍の種類や大きさ、場所、良性か悪性かによって治療方針は異なりますが、基本的には以下のようになります:

● 良性腫瘍の場合

  • 小さなものは経過観察で済むこともある
  • 大きい場合や再発を繰り返す場合は外科的に切除

切除は局所麻酔で日帰りで行えることも多いですが、深部にある場合や出血が予想される場合には専門の医療機関をご紹介することもあります。

● 悪性腫瘍の場合

  • がん専門病院や大学病院などでの精密検査・治療が必要
  • 手術のほか、放射線や抗がん剤治療が併用されることも

早期発見・早期治療がとても重要になるため、「おかしいな」と思った時点での受診が大切です。


こんな症状がある方は要チェック!

以下のような症状がある場合は、一度歯科または口腔外科の受診をおすすめします:

  • 口の中に治らない“できもの”や“しこり”がある
  • 2週間以上続く口内炎
  • 舌や歯ぐきの変色、ただれ
  • 触れると出血する
  • 飲み込みにくさや話しにくさが出てきた

「たいしたことないかも…」と思って放置してしまうと、治療が大がかりになってしまう可能性も。どうぞお気軽にご相談ください。


まとめ

口腔外科では、歯や顎だけでなく、こうした「腫瘍」も大切な診察・治療の対象です。

良性であっても、再発を繰り返すものや、見た目・機能に影響するものは早めの対処が必要ですし、悪性の場合は何より早期発見がカギになります。

日頃からお口の中をチェックする習慣を持ち、「いつもと違う」と感じたときには、できるだけ早めに受診なさってください。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)