こんにちは。仙台市青葉区二日町の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
人と話している時、ふと「もしかして自分の口、におってるかも…?」と感じたことはありませんか?
マスク生活が長かった分、外したときに自分の口臭に気づいて心配になる方も多いようです。
実は、口臭の多くはお口の中の状態が原因。
歯みがきをしてもなかなか消えない口臭には、隠れたトラブルが潜んでいるかもしれません。
今日はそんな「口臭の原因と対処法」について、分かりやすくお話しします。
口臭の原因はひとつじゃない
口臭と一口にいっても、原因はさまざまです。
大きく分けると、次の3つのタイプに分けられます。
(1)生理的な口臭
朝起きた時や、空腹時・緊張した時などに強く感じる口臭です。
睡眠中やストレス下では唾液の分泌が減り、口の中が乾くことで一時的ににおいが強くなります。
歯や歯ぐきに異常があるわけではないため、水分補給や軽くうがいをするだけで改善することが多いです。
(2)お口のトラブルによる口臭
最も多いのがこのタイプ。
- 歯周病
- 虫歯
- 舌苔(舌の汚れ)
- 歯石や詰め物のすき間にたまった汚れ
などが原因で、口の中に“嫌気性菌”というにおいのもとを作る菌が増えます。
この菌が作り出す「硫化水素」や「メチルメルカプタン」などのガスが、いわゆる“卵の腐ったようなにおい”の原因です。
(3)体の病気による口臭
糖尿病・胃腸疾患・副鼻腔炎など、全身の病気が関係することもあります。
特に糖尿病では、甘酸っぱいような独特のにおいが出ることがあります。
「口臭だけでなく、のどの奥や体調にも違和感がある」という場合は、内科的なチェックも必要です。
口臭の原因No.1は“歯周病”
実は、慢性的な口臭の約8割は歯周病が関係しているといわれています。
歯周病菌は、歯ぐきのすき間(歯周ポケット)に潜んでいて、たんぱく質を分解する際に悪臭のガスを出します。
炎症が進むと、膿(うみ)が出て、さらに強いにおいを放つことも。
また、歯周病が進行すると、
- 歯ぐきが下がって食べかすが詰まりやすくなる
- 歯と歯のすき間が広がる
- 歯石がたまり、磨き残しが増える
こうした悪循環によって、口臭がさらに悪化していきます。
歯周病は痛みが出にくいため、口臭が「唯一のサイン」になることもあります。
最近、口の中がネバつく・朝起きるとにおう…という方は、早めに歯科でチェックを受けましょう。
口臭対策の基本は「汚れを残さない」こと
毎日のセルフケアを見直すだけでも、口臭はぐっと減らすことができます。
■ 歯ブラシ+フロス+歯間ブラシを使う
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは約6割しか落とせません。
フロス(糸)を使うことで、歯周病菌の温床になりやすい「歯周ポケット」まですっきり清掃できます。
■ 舌もやさしくお掃除
舌の表面には“舌苔(ぜったい)”と呼ばれる白い汚れがつくことがあります。
これは食べかすや細菌のかたまりで、放置すると強い口臭の原因になります。
専用の舌ブラシやスプーン型のクリーナーで、軽くなでるように取り除きましょう。
※ゴシゴシこすると舌を傷つけるので注意です。
■ 唾液の分泌をうながす
唾液は「天然のうがい薬」と呼ばれるほど、口の中の洗浄力があります。
口臭が気になるときは、
- よく噛んで食べる
- 水をこまめに飲む
- 砂糖の入っていないガムを噛む
など、口の中をうるおす習慣を意識しましょう。
食生活や生活習慣も見直してみよう
口臭は、日々の習慣によっても変わります。
■ タバコとアルコール
喫煙は歯周病菌を増やし、口の中を乾燥させます。
お酒も脱水を起こすため、翌朝に強い口臭を感じやすくなります。
「お正月くらいは」と思っても、過度な飲酒・喫煙は口臭を悪化させるサインになるので要注意です。
■ 食べ物の影響
にんにくやネギなど、においの強い食べ物を食べたあとに感じる口臭は一時的なものです。
しかし、たんぱく質を多く摂りすぎたり、野菜が少ない偏った食事は、細菌が繁殖しやすい環境を作ります。
バランスの良い食事と十分な水分補給が、口臭予防にも効果的です。
■ ストレスと睡眠不足
ストレスがたまると、唾液の分泌量が減ってしまいます。
「忙しい時ほど口臭が気になる」という方は、心身の疲れも関係しているかもしれません。
軽いストレッチや深呼吸、睡眠時間の確保も大切なケアです。
それでもにおいが続くときは?
自分でケアをしても口臭が続くときは、歯科医院でのプロフェッショナルケアが必要です。
歯石や歯周ポケット内の汚れは、歯みがきでは取り切れません。
歯科医院では、
- スケーリング(歯石除去)
- ルートプレーニング(歯の根の清掃)
- 歯ぐきのチェック
などを行い、根本的に原因を取り除きます。
また、歯科医が口臭測定器を使って原因を数値化し、歯周病・舌苔・口呼吸など、どこに原因があるかを明確にできる場合もあります。
**「においを抑える」より、「においのもとをなくす」**ことが大切です。
まとめ:においケアは“口と心の健康チェック”
口臭は、「お口の健康」だけでなく、「体や心のバランスのサイン」でもあります。
- 歯ぐきの炎症
- 乾燥やストレス
- 生活習慣の乱れ
これらを整えることが、自然と口臭の改善につながります。
そして何より、人と会うことを楽しめるように、自信をもって笑える口元を守ること。
その第一歩が、日々のセルフケアと定期的な歯科チェックです。
年末年始や新生活など、出会いの多い季節に向けて、ぜひ「お口のエチケット」を見直してみてくださいね。
デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年11月現在)



