こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は、お子さんのお口の健康について気になるテーマ、「歯の先天性欠損(せんてんせいけっそん)」についてお話ししたいと思います。
保育園や小学校での歯科健診、あるいは乳歯から永久歯への生え変わりの時期に、「永久歯がなかなか出てこない」「レントゲンで歯がないと言われた」とご心配になる親御さんは少なくありません。
実は、先天的に「永久歯の本数が足りない(欠如している)」というお子さんは、年々少しずつ増えているともいわれており、珍しいことではありません。
今回は、この「歯の先天性欠損」について、原因・見つけ方・影響・治療法などを、やさしい言葉で解説していきます。
歯の先天性欠損とは?
通常、永久歯は上下合わせて28本(親知らずを含めると32本)生えてきますが、何らかの原因で最初から永久歯の芽(歯胚)が作られず、特定の歯が生えてこないことがあります。
これを「先天性欠損」といい、特に多いのは次の歯です:
- 下の前から5番目の歯(第二小臼歯)
- 上の前歯の横にある側切歯
- 親知らず(第三大臼歯)
中でも第二小臼歯の先天欠如は非常に多く見られます。
また、1本だけでなく、2本、3本と複数の歯が欠けているケースもあり、10本以上の歯が欠けている重度のケースでは「先天性無歯症(むししょう)」と呼ばれることもあります。
なぜ起こるの?原因は?
先天性欠損の明確な原因は、実はまだはっきりと分かっていません。
ただし、以下のような要因が関係していると考えられています:
- 遺伝的要素(家族内で欠損があるケース)
- 歯胚形成期(胎児期)の栄養や環境の影響
- ホルモンや成長因子の異常
- 染色体異常や先天的な疾患
近年では、遺伝的要因が大きく関与しているとする研究も多く、「お父さんやお母さんに歯の欠損があると、お子さんにもみられることがある」といわれています。
どんなタイミングで分かるの?
多くの場合、先天性欠損は**6歳〜12歳ごろの混合歯列期(乳歯と永久歯が混ざっている時期)**に判明します。
- 「永久歯がなかなか生えてこない」
- 「乳歯が長く残っている」
こうした時に歯科医院でレントゲンを撮ると、「永久歯のもとが存在しない」ことが確認され、欠損がわかるのです。
健診や定期的な受診で、早めに発見することが大切です。
影響はあるの?放っておくとどうなる?
永久歯が欠けていることで、以下のような問題が起こる可能性があります:
- 噛み合わせのバランスが崩れる
- 歯並びが乱れる
- 乳歯が長く残ることで虫歯リスクが上がる
- 将来的に隙間が気になる(見た目の問題)
特に前歯や奥歯の欠損は、発音や食事に影響が出ることもあります。また、成長とともにあごの大きさが変わるため、歯の本数が少ないとバランスが取りにくくなります。
治療法はあるの?どう対応するの?
治療の選択肢は、年齢や欠損の部位・本数、あごや歯の成長状況によって異なります。
主な対応法:
- 乳歯の保存 欠損している部分に乳歯が残っている場合、虫歯に気を付けながらできるだけ長く使う方法。
- 矯正治療 欠損部のスペースを閉じるための矯正や、将来の補綴(ブリッジやインプラント)に向けた歯列の整備を行う。
- 補綴治療(ほてつちりょう) 成長後に、ブリッジやインプラントなどで歯を補う治療。特に永久歯の生えそろった後に行います。
早期の診断と計画がとても大切ですので、定期的な歯科受診をおすすめします。
まとめ
「歯の先天性欠損」は、決して珍しいものではなく、最近では10人に1人程度に見られるともいわれています。
お子さんの口の中に違和感を感じたときや、「歯の生え変わりが遅いかな?」と感じた時には、一度歯科医院で相談してみましょう。
レントゲン撮影や定期的なチェックで、適切な治療のタイミングを見極めることができます。
将来の噛み合わせや歯並びのためにも、早めの対応がとても大切です。
お子さんの大切な歯と健やかな成長を、一緒に見守っていけたらと思います。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年7月現在)