こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は「歯の根の感染があごの骨まで進行してしまう“骨髄炎(こつずいえん)”」というテーマでお話しします。
ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は歯のトラブルから骨の病気に発展することもあるんです。 「最近、顎が痛い」「歯ぐきの奥がズキズキする」そんな症状、ただの虫歯と思って放っておくと、思わぬ深刻な病気に繋がってしまうかもしれません。
この記事では、骨髄炎とはどんな病気なのか、原因や症状、治療法、そして予防のためにできることについて、やさしく解説していきます。
骨髄炎ってなに?
骨髄炎とは、骨の内部、つまり骨髄(こつずい)に細菌が感染して炎症を起こす病気です。 歯科で問題になるのは、「顎の骨(あごのほね)」に起こる骨髄炎です。
多くの場合、虫歯や歯周病、親知らずの炎症、歯の根の感染(根尖性歯周炎)などが原因で、そこから細菌が顎の骨の中に入り込んでしまうのです。
顎の骨は血流が比較的豊富ではあるものの、いったん感染が起こると内部に膿がたまりやすく、治りにくくなることがあります。
どんな症状が出るの?
骨髄炎の初期には、次のような症状がみられます:
- 顎の奥がズーンと重だるく痛む
- 歯ぐきが腫れる、膿が出る
- 歯が浮いたような感じがする
- 発熱や倦怠感がある
- 顎の骨が腫れて硬くなる
- 口が開きにくい
さらに進行すると、顎の骨が変形したり、顔が非対称に見えたりすることも。 慢性化すると膿が皮膚を通って外に出てくる「瘻孔(ろうこう)」と呼ばれる通路ができることもあります。
これらの症状は、「ちょっとした虫歯」と思ってしまう人も多いのですが、実は重症化しているサインかもしれません。
なぜそんなことになるの?
骨髄炎の原因で多いのは、次のようなケースです:
- 根の先に膿がたまっている(根尖性歯周炎)
- 親知らずの周囲が繰り返し炎症を起こしていた
- 虫歯を長期間放置していた
- 抜歯後の感染(ドライソケットなど)
- 免疫力が落ちている状態(糖尿病や高齢者)
特に下あごは骨が硬く、感染が一度広がると排膿しにくいため、骨髄炎を起こしやすいと言われています。
治療方法は?
骨髄炎の治療は、感染の程度や範囲によって異なりますが、以下のような方法がとられます。
- 抗菌薬(抗生物質)の投与:内服または点滴で行います。
- 感染源の除去:感染した歯の根の治療、または抜歯。
- 膿の排出:腫れている部分を切開して膿を外に出すことも。
- 外科的処置:慢性化して骨が壊死している場合は、壊死部分を除去する手術(デブリードマン)を行うこともあります。
これらの治療は、口腔外科の専門知識が求められることも多く、重症の場合は大学病院や基幹病院での加療が必要になることもあります。
放置するとどうなる?
骨髄炎を放っておくと、骨の壊死が進行して治療が難しくなるだけでなく、全身に細菌が回って**敗血症(はいけつしょう)**という命に関わる状態になる可能性も。
また、顎の骨の一部が変形してしまったり、歯を失ってしまったりと、日常生活に大きな影響が出ることもあります。
早期発見・早期治療がとても重要なんです。
骨髄炎を予防するには?
骨髄炎を防ぐためには、日頃の口腔ケアと、早めの歯科受診がなによりも大切です。
- 定期的な歯科検診を受ける
- 虫歯や歯ぐきの腫れを放置しない
- 親知らずは、問題が起きる前に相談を
- 抜歯後の違和感が長引くときはすぐ連絡を
特に、「何度も腫れる」「痛みが繰り返す」といった症状があるときは、顎の骨の中で何かが起こっているサインかもしれません。
まとめ:あごの奥の違和感は、早めにチェックを
骨髄炎は、虫歯や親知らずの炎症から発展する可能性のある、深刻な疾患です。
「ただの歯の痛み」と思わず、腫れや痛みが気になるときは、早めに歯科医師に相談してください。
『デンタルフラッグ・ステージ二日町』では、口腔外科の知識と技術を活かして、骨髄炎をはじめとする複雑な症例にも対応しています。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談くださいね。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)