こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は、少し専門的なお話になりますが、患者さんからも時々ご質問をいただくテーマ「歯の移植・再植」について、わかりやすく解説していきたいと思います。
「移植?再植?」「自分の歯を移すってどういうこと?」「成功率は?」「どんな条件ならできるの?」 そんな疑問にお答えできる内容になっていますので、興味のある方はぜひ最後までご覧くださいね。
歯の「移植」と「再植」の違いとは?
まずは、言葉の意味を整理しておきましょう。
● 自家歯牙移植(じかしがいしょく)とは?
「移植」とは、ご自身の口の中にある健康な歯を、別の部位に移す治療法のことです。 たとえば、親知らずなど噛み合わせに使っていない歯を、抜歯した別の場所に移植するケースがよくあります。
● 再植(さいしょく)とは?
一方「再植」は、外傷などで抜けてしまった歯を、もとの場所に戻す処置のこと。 歯が完全に抜けてしまっても、状態が良ければ再び根に戻すことが可能な場合があります。
どちらも「歯を抜いて別の場所に戻す」という点では共通していますが、目的や背景が異なります。
どんなケースで移植・再植が行われるの?
【移植の場合】
以下のようなケースで検討されます
- 奥歯を抜歯することになったが、親知らずが残っている
- インプラントやブリッジを避けたい
- 成長期の若年者(インプラントができない年齢)
【再植の場合】
- 外傷(事故やスポーツなど)で歯が抜けてしまった
- 歯の根の先に感染があり、いったん抜いて処置してから戻したい
- 歯の根が折れてしまった場合の特殊処置
このように、歯を「なるべく自分の歯で残したい」「人工物ではなく天然歯を使いたい」という希望や条件のもとに選択される治療です。
治療の流れは?
● 歯の移植の流れ(自家歯牙移植)
- 検査・診断:レントゲンや歯周状態を確認します
- 抜歯:移植される部位の歯(たとえば割れた歯)を抜歯します
- ドナー歯の抜歯:親知らずなどの提供歯を抜きます
- 移植:抜いたドナー歯を、移植部位にフィットさせて入れます
- 固定・経過観察:歯が定着するまで固定し、経過を見ます
移植が成功すると、根の治療(根管治療)を経て被せ物を作ります。
● 再植の流れ
- 歯が抜けた直後に保存(生理食塩水や牛乳などが適切)
- 早期に歯科へ来院(理想は30分以内、遅くても1時間以内)
- 再植処置:歯を清掃し、もとの場所に戻します
- 固定と観察:固定して安定させ、感染がないか管理します
再植はスピードが命!早ければ早いほど成功率が上がります。
成功率は?どんな条件ならできる?
● 自家歯牙移植の成功率
一般的には**約70〜90%**と高めですが、以下の条件が整っているほど成功しやすくなります:
- ドナー歯の根が完成していない(未完成根)
- 歯周組織や骨が健康である
- 外科処置の技術が高い
特に、親知らずの根が真っ直ぐでシンプルな形状だと、適応しやすいと言われています。
● 再植の成功率
再植の成功率は50〜80%程度。歯の保存状態や時間がカギを握ります。
- 抜けた歯の根が傷ついていない
- 歯根膜が残っている
- 乾燥時間が短い(30分以内が理想)
もし抜けた歯が乾燥していたり、根が割れていたりすると成功は難しくなります。
メリットと注意点
【メリット】
- 自分の歯を活かせる
- インプラントやブリッジよりも自然な感覚
- 費用が比較的抑えられる(保険適用の場合もあり)
【注意点】
- すべてのケースで可能なわけではない
- 外科的な処置を伴うため、術後の管理が重要
- 移植後の経過観察や根の治療が必要
また、歯がしっかりと機能するようになるまでには数週間から数ヶ月の経過観察が必要です。
まとめ:移植・再植は“自分の歯を活かす”選択肢
歯の移植や再植は、インプラントや義歯とは違い、“自分の歯”を使えることが最大の魅力です。
もちろん、すべての方に適用できる治療ではありませんが、条件が合えば非常に有効な選択肢となり得ます。
「親知らずを残しておいた方がいいのかな?」「抜けた歯を戻せるかも…?」そんな疑問がありましたら、ぜひ一度ご相談くださいね。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)