歯周病はうつるの?家族内感染のリスクとは

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こんにちは!
仙台市の歯科クリニック「デンタルフラッグ・ステージ二日町」院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。

最近、患者さんからこんなご相談を受けることがあります。

「実は主人が歯周病で治療中なんですが、私にも感染したりしませんか?」
「子どもと一緒に食事していて、歯周病がうつったりするのかな?」

歯周病って“うつる病気”というイメージがあまりないかもしれませんが、
実は **「家族間で感染する可能性がある」**というのは、ご存知でしょうか?

今回は、歯周病がうつるしくみと、家族みんなで予防するためのポイントをわかりやすくお話ししていきます。


そもそも歯周病とはどんな病気?

まず、歯周病は「歯を支える組織(歯ぐきや骨など)が壊れてしまう病気」です。
歯と歯ぐきの間にたまったプラーク(歯垢)の中には、歯周病菌という悪さをする細菌が潜んでいて、炎症を引き起こします。

進行すると歯ぐきが下がり、やがて歯を支えている骨まで溶けてしまうため、放っておくと歯が抜けてしまうこともある怖い病気なんですね。

歯周病の特徴は、

  • 痛みが少ないまま進行する
  • 自覚症状が出にくく、気づいたときには重症化していることも
  • お口だけでなく、糖尿病や心疾患、早産など全身にも影響する

…という点です。

この歯周病、実は細菌感染症なんです。
つまり、風邪やインフルエンザほどではありませんが、「うつる」可能性がある病気でもあるということです。


歯周病菌はどうやって「うつる」の?

歯周病菌は、もともとお口の中に存在している細菌ですが、人から人へと移動することもあります。

特に気をつけたいのが、「唾液を介した感染」。

たとえば…

  • 家族で同じ箸やスプーンを使う
  • 回し飲み・回し食べ
  • キスや口移し
  • くしゃみや咳など飛沫が飛ぶ距離での会話

このような場面で、歯周病菌を含む唾液が相手の口の中に入ることで、感染のリスクが高まると考えられています。

特に、親から子どもへの感染が問題視されており、「虫歯菌と同じように、歯周病菌も家庭内で移る」可能性があるのです。


ただし、「うつる=すぐ発症」ではありません!

ここで大切なのは、歯周病菌がうつったとしても、すぐに歯周病になるわけではないということ。

歯周病の発症には、

  • 口の中のケアの状態(プラークの有無)
  • 免疫力や体質
  • 喫煙や糖尿病などの生活習慣
  • 噛み合わせや歯並びの影響

など、いくつもの要因が組み合わさる必要があるのです。

つまり、同じ菌が口の中にいても、発症する人としない人がいるということ。
これは風邪などのウイルス感染と大きく違う点ですね。

ですから、歯周病菌が口に入ってしまったとしても、
日頃からの予防ケアと定期検診で、発症を防ぐことが十分可能なんです。


家族内感染を防ぐためにできること

「そうは言っても、家族で暮らしていれば、唾液のやりとりなんて避けられない…」
そんなお声もよく聞きます。

たしかに、完全に感染を防ぐのは難しいかもしれません
でも、リスクを減らすことはできます!

ここでは、家族みんなでできる予防ポイントをご紹介します。

① 食器の共有をできるだけ避ける

特に小さなお子さんがいる家庭では、親が使った箸やスプーンで食べ物を与えるのは避けるようにしましょう。
お子さん用の食器はできるだけ専用に。

② 食後の歯みがきを習慣に

家族みんなで、食後に歯を磨く習慣を。
小さい頃からの習慣づけが、将来の歯周病予防につながります。

③ 定期的な歯科検診

歯科医院での**プロのクリーニング(PMTC)**と、歯周ポケットの検査で早期発見・早期治療ができます。
家族そろって、数か月に1回は定期健診へ。

④ 喫煙者は注意

タバコは歯周病のリスクを大きく高めるだけでなく、菌の増殖を助ける環境を作ってしまいます。
ご家族の健康のためにも、禁煙は大きな予防策になります。


歯周病は「家族の健康」にも影響する

ちょっと意外かもしれませんが、お父さんやお母さんが歯周病であることが、子どもの将来の歯周病リスクに関係するという研究結果もあります。

つまり、「自分の歯の健康」が「家族の歯の健康」にも影響を与えているということ。

また、妊娠中のお母さんが歯周病であると、早産や低体重児出産のリスクが高まることもわかってきています。

ご自身だけでなく、大切なご家族の健康のためにも、
まずは“大人の歯周病対策”がとても大切なんです。


まとめ:歯周病は「うつる病気」だからこそ、家族で予防を

いかがでしたか?

「歯周病がうつるなんて、知らなかった!」という方も多いかもしれません。
でも、知っていれば、しっかり予防できる病気でもあります。

まずはご自身の口の中の健康状態をチェックして、
家族みんなで歯科医院へ。
「家族全員が健康な歯ぐき」を目指して、できることから始めてみましょう!

当院では、患者さんご本人はもちろん、
ご家族の口腔ケアや歯周病予防のアドバイスも行っております。
お気軽にご相談くださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年7月現在)