こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回のテーマは、「留学前に親知らずを抜く人が多いのはなぜ?」という、少し意外に思われるかもしれないお話です。
実は、大学生や社会人で長期の留学や海外赴任を予定している方の中には、「出発前に親知らずを抜いておきたい」という希望で来院される方が少なくありません。なぜそのような傾向があるのでしょうか?その理由を詳しくご紹介します。
親知らずは“いつ痛むか分からない”厄介な存在
親知らずは、まっすぐ正常に生えている場合はあまり問題になりませんが、少しでも横向きに生えていたり、歯ぐきに半分埋まっていたりすると、周囲が炎症を起こしやすくなります。
しかも厄介なのが、「今は痛くないけど、ある日突然腫れて激痛になる」ことがあるという点。疲れやストレス、時差ボケ、免疫力の低下などをきっかけに、急に症状が出ることも多いです。
日本にいる間であれば、かかりつけの歯科にすぐ相談できますが、海外ではそうはいきません。
海外では歯科治療のハードルが高い?
多くの国では、日本のように気軽に歯科にかかるのが難しいケースがあります。
・保険が効かず治療費が非常に高額になる(1本の抜歯に数万円〜十数万円) ・予約が取りづらく、何週間も先になることも ・英語などで症状を伝えるのが難しい ・日本のような繊細な対応が受けられないこともある
これらの不安から、「出発前にリスクを取り除いておきたい」と考えるのは自然な流れです。
特に、海外での生活に慣れていないうちに強い痛みが出たり、発熱したりすると、非常に困った事態になります。
長期滞在者にとっての“安心材料”
留学やワーキングホリデー、海外転勤などで長期間日本を離れる予定がある方にとって、親知らずの処置は「安心材料」のひとつになります。
実際に、歯のトラブルがきっかけで現地生活に支障をきたし、予定を変更せざるを得なくなったという方も。
親知らずは、完全にまっすぐ生えて清掃しやすい状態であればそのままでも問題ありませんが、レントゲンなどで将来のリスクが高いと判断された場合には、事前に抜歯しておく方が安心です。
抜歯は「計画的」にが鉄則!
ただし、親知らずの抜歯にはある程度のダウンタイム(腫れや痛み)がつきものです。
特に、埋まっているタイプや、骨と癒着しているケースでは、術後に腫れが強く出たり、一時的に食事がしづらくなることも。
そのため、 ・飛行機に乗る直前 ・語学学校や大学のスタート直前 ・大事な試験や面接の直前 などのタイミングでは避け、できるだけ余裕をもって計画的に行うことが重要です。
また、抜歯後の経過を見ながら、必要に応じて消毒やお薬の調整ができるよう、数回は通院できる時間を確保しておくのが理想です。
実際にあったケースから
当院でも、 ・半年の語学留学を控えている大学生 ・外資系企業への赴任が決まったビジネスマン ・海外で出産予定の方 など、多くの方が「今のうちにできることを」と考えて、親知らずの相談に来られます。
「以前、日本人の友人が現地で親知らずが腫れて苦労していたのを見て、自分は抜いておこうと思った」という声も多く、やはり“予防の意識”の高まりが背景にあります。
最後に:未来の安心は、今の準備から
海外での生活は、楽しみも多い一方で、思わぬトラブルが起こると非常に不安になります。
そんな中で、避けられるリスクはできるだけ取り除いておくことが大切。そのひとつが「親知らず」かもしれません。
もちろん、すべての人が抜歯の対象になるわけではありません。歯の状態、今後の予定、生活環境などをふまえ、歯科医師と一緒に最善のタイミングを考えていきましょう。
海外生活を安心して過ごすためにも、「親知らず、どうしようかな…」と思ったら、ぜひお気軽にご相談くださいね。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)