こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は「舌に痛みを感じる疾患とは?」というテーマでお話しします。
「舌がピリピリする」「ヒリヒリして食事がしみにくい」「何もしていないのに舌が痛い」──そんなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか? 実は、舌の痛みにはいろいろな原因があり、虫歯や歯周病などの一般的な歯科疾患とはまた違った対応が必要なこともあります。
この記事では、舌の痛みを引き起こすさまざまな疾患について、わかりやすくご紹介していきます。
舌の痛みにはどんな種類がある?
まず、舌の痛みにはいくつかのパターンがあります。
- 物理的な刺激によるもの(やけど、咬傷など)
- 細菌やウイルスによる感染性のもの
- 栄養やホルモンのバランス異常によるもの
- 神経の異常やストレスによるもの
それぞれ、原因や治療法が異なりますので、自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
舌の痛みを起こす代表的な疾患
1. 舌炎(ぜつえん)
舌そのものが赤く腫れて痛みを伴う状態を「舌炎」と呼びます。原因は以下のように多岐にわたります:
- ビタミンB群の不足(とくにB2、B6、B12)
- 鉄欠乏性貧血
- 義歯や歯の詰め物による刺激
- 口腔乾燥症(ドライマウス)
栄養の偏りや体調不良によって起こることがあり、痛みと同時に舌の表面がつるつるした「萎縮性舌炎」になることもあります。
2. 舌痛症(ぜっつうしょう)
見た目に異常がないのに舌が痛む状態を「舌痛症」と呼びます。
- 更年期の女性に多くみられる
- ストレスや自律神経の乱れが関与しているとされる
- 口の中の粘膜に異常はないが、持続的にヒリヒリ・ピリピリとした痛みがある
この疾患は診断と治療が難しく、耳鼻咽喉科や心療内科と連携して治療することもあります。
3. 口腔カンジダ症
カンジダ菌という真菌(カビの一種)が増殖することで、舌に白っぽい苔のようなものができ、痛みを感じることがあります。
- 免疫力が低下している人
- 抗生物質を長期間使用している人
- 入れ歯や口呼吸の習慣がある人
抗真菌薬を用いた治療が行われます。
4. 口内炎(アフタ性潰瘍)
誰でも一度は経験したことのある「口内炎」ですが、舌の側面や裏側にできると、かなり強い痛みを感じることがあります。
- ビタミン不足やストレス、疲労などが原因
- 尖った歯や詰め物、入れ歯のふちが当たってできることも
一般的には1〜2週間で自然治癒しますが、痛みが強い場合は塗り薬などで対処します。
5. 舌がん
まれではありますが、舌の痛みが長期間続く場合、舌がんの可能性も否定できません。
- 特に片側だけの痛み、しこり、ただれがある場合は要注意
- 進行すると言語障害や嚥下障害を起こすことも
痛み以外に「なかなか治らない傷」「硬いしこり」「出血」などの症状がある場合は、早めに精密検査が必要です。
いつ受診すべき?
以下のような症状がある場合は、放置せずに歯科または口腔外科に相談しましょう。
- 1週間以上舌の痛みが続いている
- 見た目に赤みや白い苔、しこりなどがある
- 食事がしみて困る
- 舌を動かすと痛む
- 全身的なだるさや食欲不振を伴う
とくに「見た目に異常がないのに痛い」という場合でも、重大な疾患が隠れている可能性があります。
自分でできるケアはある?
日常生活で気をつけることで、舌のトラブルを予防・軽減できる場合もあります。
- 栄養バランスのとれた食事(特にビタミンB群)
- 刺激の強い食べ物・飲み物は控える
- よく噛んで食べる
- 正しいブラッシングで口腔内を清潔に保つ
- ストレスをためない生活
ただし、自己判断せず、痛みが続く場合は必ず受診を!
まとめ:舌の痛みは“体からのサイン”かも
舌の痛みは、単なる口内炎から、栄養不足、ストレス、そして稀に重篤な病気まで、さまざまな背景が関係していることがあります。
「ちょっとピリピリするだけだから」と放っておかず、気になる症状が続くようであれば、ぜひご相談くださいね!
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)