親知らず、抜かない方が良いのは、どんなとき?

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抜かない方がいい?親知らずの“様子見”って、どんなとき?

こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。

これまでのブログでも、「親知らずは抜いた方がいいの?」「腫れたらどうすればいいの?」といったご相談にお応えしてきました。多くの方が「とりあえず様子を見ています」とおっしゃることがありますが、この“様子見”という判断、実はとても難しいものです。

今回は「親知らず、抜かないで様子見ってアリ?」「どんなときなら見守っても大丈夫?」そんな疑問について、わかりやすくお話ししていきます。


「様子見」とは、“抜かない判断”でもある

まず最初にお伝えしたいのは、「様子見」は何もしないという意味ではなく、「あえて抜かないという選択肢をとる」ことだという点です。

親知らずは、すべての人にとって抜かなければならない歯ではありません。しっかりとまっすぐ生えていて、周りの歯や歯ぐきに悪影響を与えていないのであれば、そのままにしておくという判断もあるのです。

ただし、この“様子見”が有効なのは、きちんとお口の中の状態を見て、リスクを把握したうえで判断した場合に限ります。自己判断で「痛くないから大丈夫」と思っていると、ある日突然腫れたり、痛みが出たりしてしまうことも……。

「今は症状が出ていないけれど、今後どうなる可能性があるか?」を見極めることがとても大切なんです。


様子見でOKな親知らずの特徴

では、具体的に「これはしばらく様子を見ていいですよ」となるのは、どんなケースなのでしょうか?当院で診させていただく中でも、下記のような親知らずは、抜かずに定期的なチェックで対応することが多いです。

①まっすぐキレイに生えている
上下の噛み合わせも問題なく、歯ブラシもしっかり届く位置にある場合は、無理に抜く必要はありません。とくに若い方だと「親知らず=抜くもの」と思っていることも多いのですが、健康に役立っていることもあるんですよ。

②周囲に炎症の兆候がない
歯ぐきが腫れていたり、膿が出ていたりするようでなければ、経過観察で大丈夫なことも。見た目ではわかりにくい症状もありますので、歯科でのチェックが必要です。

③前の歯(第二大臼歯)を圧迫していない
親知らずが斜めや横向きに生えていると、手前の歯を押してしまうことがあります。そうすると、虫歯や歯並びのトラブルに発展することも。逆に、それらが見られない場合は、様子を見てもOKとなることもあります。


様子見してはいけないケースもある

一方で、「これは早めに抜いた方がいいですね」という親知らずもあります。見た目では一見分かりづらいのですが、以下のようなケースでは注意が必要です。

・一部しか歯ぐきから出ていない(半埋伏歯)
このタイプの親知らずは、食べ物のカスや細菌が入り込みやすく、腫れや炎症を起こしやすいです。痛みが出ていなくても、繰り返しトラブルになることが多いため、抜歯をおすすめすることがよくあります。

・歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい
親知らずはお口の奥に位置するため、どうしても磨き残しが出やすい場所です。虫歯ができてしまうと治療も難しく、手前の歯に悪影響が及ぶことも。

・顎のスペースが狭く、他の歯を押している
歯並びに影響を与える場合や、手前の歯がグラついたり、痛みが出るようであれば、様子見ではなく早めの対応が必要です。

レントゲンでの診断がカギに
親知らずの位置や角度、骨の中の状態は、見た目だけでは判断できません。そこで重要なのが、歯科医院でのレントゲン撮影です。

当院では、親知らずの状態を丁寧に確認し、角度や骨との距離、神経の走行なども慎重にチェックしています。CT撮影と異なり、通常のレントゲンでも大まかな位置関係や生え方は確認できます。そうした情報をもとに、「今は様子を見ていいのか」「今後どうなる可能性があるのか」を見極めていきます。


悩んだときは、まずはご相談を

「まだ痛くないけど、このままで大丈夫かな?」
「親知らず、抜いた方がいいのか迷っている…」
そんな方は、ぜひ一度お口の中を拝見させてください。

“様子見”は、医師の診断と計画的な経過観察があってこそ、安全に進められるものです。逆に、放置しておくことで痛みや腫れが出てしまうと、処置も大変になり、体の負担も大きくなってしまいます。

「不安だから、とりあえず診てもらおう」
そう思ったタイミングが、実はとても大事なタイミングです。お気軽にご相談くださいね。

それでは、今回はこのあたりで。次回もどうぞお楽しみに!


デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)