親知らずの腫れ、痛みがひいたら放置していい?〜治ったわけではありません〜
こんにちは!
仙台の歯科クリニック「デンタルフラッグ・ステージ二日町」の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は、「親知らずが腫れて痛かったけど、数日でおさまったから、もう治ったと思ってそのままにしている」という方に向けてのお話です。
痛みが引いたからといって、親知らずの問題が解決したとは限らないんです。
実はそれ、体の防御反応が一時的に落ち着いただけで、根本的な原因はまだ残っているかもしれませんよ。
■親知らずの痛みが「ひく」って、どういうこと?
親知らず周囲の腫れや痛みが出る原因として多いのが、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」です。
これは、親知らずのまわりの歯ぐきに炎症が起きている状態で、特に生え方が中途半端な場合によく見られます。
食べかすや細菌がたまりやすく、うまく歯みがきも届かないので、気づかないうちに炎症が進み、ある日突然「ズキッ!」とした痛みに変わることも。
そして、痛み止めや抗生剤を飲んだり、うがいをして清潔に保ったりすることで一時的に炎症が落ち着き、「治った」と感じるんですね。
でもここが落とし穴。
炎症の「火元」は残ったままなので、またいつ再発するかわかりません。
■再発を繰り返すと、だんだん悪化してしまうことも
実は、親知らずまわりの炎症は「くせになりやすい」んです。
一度炎症を起こした部分は、また細菌がたまりやすく、体調が悪いときや疲れているときなどに再発することがあります。
繰り返すことで、炎症が深い部分にまで広がり、あごの骨や隣の歯にも悪影響を及ぼすことも。
たとえば、親知らずの前の歯(第二大臼歯)に虫歯や歯周病が起きたり、炎症があごの骨の中にまで及ぶと、腫れや痛みが広範囲に広がって、最悪、入院が必要なケースも。
「ちょっと腫れて治ったから大丈夫」と思っているうちに、症状が悪化していた…という方も実際にいらっしゃいます。
■親知らずの診断と判断は慎重に
「親知らずは全部抜いたほうがいいんですか?」とよく聞かれます。
でも、必ずしもすべての親知らずを抜く必要があるわけではありません。
まっすぐキレイに生えていて、きちんと歯みがきができている状態であれば、無理に抜く必要はないケースもあります。
大事なのは、その親知らずが**「今後トラブルを起こす可能性が高いかどうか」**という点。
当院では、口の中の状態や親知らずの生え方、かみ合わせ、そして患者さんご自身の生活スタイルまで考慮して、慎重に判断しています。
また、あごの骨の中に深く埋まっている親知らずの場合などは、無理に処置をすすめず、専門的な病院と連携しながら、患者さんにとって安全な方法を一緒に考えていきます。
■痛みがなくても、親知らずチェックは大切です
「今は痛くないから、歯医者に行く必要ないかな…」と思っている方。
実は、そういうときこそ親知らずの状態を確認するチャンスです!
痛みが出てしまうと、腫れや炎症でお口が開けづらくなり、診察や処置がスムーズにできなくなることもあります。
親知らずは、ある日突然トラブルを起こすこともあるため、予防的なチェックがとても大切です。
当院では、レントゲン写真や視診をもとに、今後のリスクなども一緒にご説明しています。
「放置してて大丈夫かな…?」と不安な方も、どうぞお気軽にご相談くださいね。
■まとめ:痛みが引いても、それは「解決」ではなく「一時的な静けさ」
親知らずの痛みがひいても、それで安心せず、「今後のトラブルを予防する」ための一歩を踏み出すことが大切です。
もしも将来的に抜歯が必要になったとしても、腫れや炎症がない落ち着いた状態のほうが、処置もスムーズに行えます。
「放置せずに、ちゃんと向き合う」ことが、これからの快適なお口の健康につながりますよ。
気になることがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にお話しくださいね。
デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医
(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医
(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)