親知らずは基本的に8番目の歯。でも、9番目の歯が生えることってあるの?

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親知らずは基本的に8番目の歯。でも、9番目の歯が生えることってあるの?

こんにちは!
仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長の前澤訓(マエザワサトシ)です。

いつもブログをご覧いただきありがとうございます。

今回はちょっと珍しい「番外編」的なテーマとして、「9番目の歯が生えることってあるの?」というお話をしてみたいと思います。

「親知らずは一番奥に生える歯ですよね?」とご質問をいただくこともありますが、実は、まれに“もっと奥”に歯が存在することもあるのです。

「えっ、そんなことあるの?」と思われた方、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!


■ 基本の歯の本数は「上下左右で28本+親知らず4本」

まず、人間の永久歯の数は、上下左右で合計32本が基本です。

内訳としては、

  • 前歯:中切歯・側切歯(1番・2番)

  • 小臼歯:第一・第二小臼歯(4番・5番)

  • 大臼歯:第一~第三大臼歯(6番・7番・8番)

この「8番目」にあたる第三大臼歯が、いわゆる親知らずです。生えてくる時期は10代後半〜20代前半が多く、「親の手を離れた頃に生えてくるから親知らず」という名前がついたとも言われています。

ところが、まれにこの「8番」よりもさらに奥に、“9番目の歯”が存在するケースがあるんです。


■ 9番目の歯=「過剰歯(かじょうし)」

このような、通常よりも多く生えてくる歯のことを、歯科用語で**「過剰歯」**と呼びます。

過剰歯は、顎の発達や歯胚(しはい:歯のもととなる細胞)の異常な増殖などが原因で生じることがあるとされています。頻度としては比較的まれで、全体の1~3%程度の人に見られるといわれています。

特に多いのは、上の前歯の間に1本多くできる「正中過剰歯(せいちゅうかじょうし)」ですが、親知らずのさらに奥に過剰歯ができるケースも報告されています。

この場合、**「第四大臼歯」や「第9番目の歯」**などと呼ばれることがあります。


■ 9番目の歯があるとどうなる?

では、実際に9番目の歯が存在した場合、どのようなことが起こるのでしょうか?

● 1. 生えてこないことも多い

過剰歯の多くは、顎の骨の中に埋まったまま、**外からは見えない状態(埋伏歯)**で存在します。本人も気づかないまま過ごしていることが多く、レントゲンなどで偶然見つかるケースがほとんどです。

● 2. 生えてきても機能しない場合が多い

万が一生えてきても、正しい位置にないことが多く、かみ合わせに参加できない・ブラッシングが難しいなどの理由でトラブルの原因になる可能性があります。

● 3. 隣の歯を圧迫することがある

9番目の歯が8番(親知らず)を押し出したり、根を圧迫したりして、痛みや歯並びのズレを引き起こすこともあります。


■ 9番目の歯が見つかったらどうする?

もしレントゲンなどで9番目の歯が見つかったとしても、必ずしも抜く必要があるわけではありません

ただし、以下のような場合は抜歯を検討することがあります。

  • 隣の歯に悪影響を与えている(圧迫、痛みなど)

  • 将来的に虫歯や歯周病のリスクが高い

  • 顎の中で嚢胞(のうほう)を形成している

  • 矯正治療の障害になる

逆に、完全に埋まっていて問題がない場合は、定期的な経過観察にとどめることもあります。

いずれにせよ、専門的な診断が必要になりますので、気になる方は歯科医院で相談してみてくださいね。


■ ちなみに…動物にも「9番目の歯」はあるの?

人間だけでなく、動物の中にもたくさんの歯を持つ種類がいます。

例えば、

  • イルカやサメは100本以上の歯を持つ種も!

  • ゾウやワニは、生涯を通じて何度も歯が生え変わる構造

ただし、こうした動物たちは人間とはまったく異なる「歯の構造と役割」を持っています。

人間の歯列は「機能と美しさ」を両立する繊細なバランスで成り立っていますので、「多ければいい」というものではありません。むしろ、多すぎることでトラブルになることがあるというのが、今回のテーマのポイントですね。


■ まとめ:9番目の歯がある人も、ごくまれにいます!

今回のテーマ、「9番目の歯ってあるの?」という疑問にお答えする形でお話ししてきました。

簡単にまとめると…

  • 通常、人の歯は親知らずを含めて最大32本

  • まれに過剰歯(9番目の歯)が存在する人もいる

  • ほとんどは顎の中に埋まっていて、気づかないケースが多い

  • 問題がある場合は抜歯を検討、それ以外は経過観察もあり

という内容でした。

普段はあまり聞かないようなテーマですが、こうしたことも「歯科の世界って奥が深いな」と感じてもらえるきっかけになれば嬉しいです。

もしレントゲンなどで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)