重度歯周病の長期治療例

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こんにちは。仙台市青葉区の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
「最近歯がグラグラする…」「歯ぐきから血や膿が出る…」そんな症状に心あたりはありませんか?

歯周病は“静かに進む病気”とも言われていて、初めのうちは痛みもなく、気づいたときにはかなり進行してしまっていることがあります。

特に重度の歯周病になると、「もう歯を残すのは無理かな…」とあきらめたくなる方も少なくありません。

でも実は、時間をかけてじっくり治療に取り組むことで、歯を残せるケースもたくさんあります。今日は、そんな「重度歯周病の長期治療」の流れを、できるだけわかりやすくご紹介しますね。


重度歯周病ってどんな状態?

歯周病は大きく分けて3段階あります。

  • 歯肉炎 … 歯ぐきだけが腫れている。まだ骨は壊れていない。
  • 中等度歯周炎 … 歯を支える骨が少しずつ減ってきて、歯が揺れる。
  • 重度歯周炎 … 骨が半分以上溶けてしまい、歯が大きくグラグラ。膿が出たり、噛むのもつらい。

「重度」と診断されるのは、歯周ポケットが6mm以上だったり、レントゲンで骨が大きく減っていたり、歯の動きがはっきり分かるときです。ここまで進むと、「抜歯」と言われることもありますが、歯科医院と一緒にがんばれば残せる可能性もあります。


治療の流れ(じっくり編)

重度歯周病は、一回の治療で治るものではありません。何か月、時には年単位で取り組む“長期戦”です。

① 初期治療(まずはお掃除から)

最初は、とにかく原因を取り除くことからスタートです。

  • 歯石を取る(スケーリング・ルートプレーニング)
  • ブラッシング方法の見直し
  • 炎症を抑えるためのお薬

歯医者さんでしっかりお掃除をしても、毎日の歯みがきが不十分だとまたすぐ炎症が戻ってしまいます。だからこそ「自分の歯みがきの癖を直す」のも大切なステップなんです。


② 再チェック(数か月後)

初期治療をしてから数か月後に「どれくらい良くなったか」を見直します。

  • 歯周ポケットが浅くなったか?

  • 出血や膿は減ったか?

  • 歯のグラつきは改善したか?

よくなっていれば、そのまま定期的なクリーニング(メインテナンス)へ。まだ炎症が強いところは、さらにステップアップした治療に進みます。


③ 外科的治療(必要な場合)

歯ぐきの奥深くにある歯石は、普通のお掃除では取り切れないこともあります。そんなときには、歯ぐきを少し開いて歯石をしっかり取り除く「フラップ手術」という治療を行います。

また、失った骨を少しでも取り戻すために「再生療法(特殊な薬や材料を使う方法)」を行うケースもあります。聞くと大がかりに思えるかもしれませんが、局所麻酔で行うので痛みはしっかり抑えられます。


④ 噛み合わせや補強の治療

歯がグラグラして噛みにくいときは、かぶせ物で固定したり、何本かの歯をつなげて安定させることもあります。
重度の場合は、残念ながら一部の歯を抜くことになるケースもありますが、それも「他の歯を守るための選択」と考えていただければと思います。


⑤ メインテナンス(ずっと続くケア)

治療が終わっても安心はできません。歯周病は再発しやすい病気だからです。
1〜3か月ごとに歯科医院でチェック&クリーニングを受けつつ、毎日の歯みがきをしっかり続けることが一番の予防になります。

「治療して終わり」ではなく、「治療したあとからがスタート」だと思っていただくと良いですね。


こんな治療例があります

例えば、50代男性のケース。

  • 初診時:歯が数本グラグラ。膿も出ていて、歯周ポケットは8mm。
  • 半年間:歯石取りや歯みがき改善を続けて、腫れはだいぶ落ち着く。
  • その後:奥歯にフラップ手術を行い、噛み合わせを整える。揺れの強い歯はかぶせ物で固定。
  • 1年半後:炎症はコントロールでき、食事もしっかり噛めるように。
  • 現在:3か月ごとにメインテナンスを継続中。

このように、「時間をかければ歯を守れる」ケースもたくさんあるのです。


長期治療で大切なこと

  • あせらないこと
     重度歯周病は一朝一夕では治りません。長期戦になると最初から知っておくと気持ちもラクです。

  • セルフケアをがんばること
     歯科医院の治療だけでなく、毎日の歯みがきがカギになります。

  • 通院を続けること
     途中で中断すると、また悪化してしまいます。

  • 無理をしない選択も大切
     残すのが難しい歯を無理に残すより、抜いて全体の健康を守るほうが良い場合もあります。


まとめ

重度歯周病は「治す」のに時間がかかります。でも、正しい治療とケアを続ければ、歯を残せる可能性は十分にあります。

「歯ぐきが腫れている」「歯が揺れてきた」など気になる症状があるときは、早めに相談してみてくださいね。

治療は大変かもしれませんが、歯を守れたときの喜びはとても大きいですよ。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段
(2025年8月現在)