親知らずが原因で口が開かない?

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親知らずが原因で口が開かない?それって顎関節症?

こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回のブログでは、「親知らずが原因で口が開かない?それって顎関節症?」というテーマについてお話しします。

「最近、口が大きく開けづらい」「食事中にアゴが痛む」「もしかして、顎関節症?」と思っている方、その違和感の原因、もしかしたら“親知らず”かもしれません。

私たち歯科医院では、「口が開かないんです」「アゴがカクカクするんです」といったご相談をよくいただきます。そんなとき、実は親知らずが関係しているケースが意外と多いのです。

今回は、親知らずと顎関節の関係について、わかりやすくご紹介していきます。


■ 顎関節症ってどんな症状?

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、アゴの関節やその周囲の筋肉にトラブルが起こる病気で、以下のような症状がみられます:

・口が大きく開かない(開口障害) ・アゴの関節に痛みを感じる ・口を開けたときに「カクン」「ミシッ」といった音がする(関節雑音) ・アゴがスムーズに動かせない、だるさや違和感がある

このような症状があると、「やっぱり顎関節症かな?」と疑うのが自然です。ただ、こうした症状を引き起こす“別の原因”が潜んでいることもあります。その一つが、今回のテーマである「親知らず」です。


■ 親知らずと顎関節症の意外な関係

親知らずが斜めや横向きに生えていたり、歯ぐきの中に半分埋まったままの「埋伏歯」だったりすると、まわりの組織に炎症が起きることがあります。

その炎症がひどくなると、親知らずのまわりが腫れ、痛みが出てきます。すると、「痛いから無意識に口を開けないようにしよう」と体が反応し、アゴまわりの筋肉や関節に負担がかかってしまうことがあるのです。

さらに、親知らずの炎症はアゴの動きに直接関係する筋肉(咬筋や翼突筋)に影響を与えるため、アゴの動きそのものがスムーズにいかなくなります。これが、顎関節症と似たような症状を引き起こす大きな原因になります。


■ 片側だけ親知らずが悪さをするとどうなる?

たとえば、右下の親知らずだけが炎症を起こしていると、右側のアゴに痛みや違和感が出て、無意識に左側ばかりで咀嚼するようになります。

すると、左側の筋肉だけが酷使されてバランスが崩れ、結果的に関節の動きにもズレが生じることに。これにより、顎関節症と似たような「開けにくさ」や「カクカク音」が現れることがあるのです。

こうした“片側だけの親知らずのトラブル”は、原因が特定しにくく、自覚症状としては「なんとなくアゴが変」といったあいまいな違和感で現れることが多いのが特徴です。


■ 親知らずの炎症が強くなるとどうなる?

親知らずのまわりで炎症が進行すると、歯ぐきが赤く腫れたり、膿がたまったりすることがあります。これが「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれる状態です。

炎症が強いと、アゴを動かす筋肉にも影響が及び、最終的には口が指1本分しか開かなくなるような「開口障害」になることも。

さらに、炎症が長引くと、痛みをかばって口の開け閉めの癖がついてしまい、関節の動きに偏りが出ることで、顎関節症が“後から発症する”という悪循環に陥ることもあります。


■ 顎関節症かと思いきや、実は親知らずだった!?

実際の診療では、「顎関節症かと思って受診したら、親知らずの炎症が原因だった」というケースは、決して珍しくありません。

このような場合、まずは炎症を抑えるための消毒やお薬による治療を行い、落ち着いたところで必要に応じて親知らずの抜歯を検討します。

親知らずが原因のケースでは、抜歯によって炎症がなくなれば、アゴの痛みや開けづらさが自然と解消されることがほとんどです。

つまり、原因が“関節そのもの”ではなく“親知らず”であるならば、対応の仕方も大きく異なってくるというわけです。


■ 症状があるときは、どうすればいい?

「最近アゴが変だな」「開けづらいけど、どこに相談すればいいのかわからない」という方は、まずは歯科医院へご相談ください。

当院では、CTなどの高額で複雑な設備はありませんが、一般的なレントゲンと視診・触診を通して、親知らずの位置や炎症の有無をしっかり確認しています。

「親知らずが原因かも?」「顎関節症かな?」と悩まれている方には、まず現状を一緒に確認しながら、今後の治療方針を丁寧にご提案しています。

場合によっては、お薬だけで症状が改善することもありますし、親知らずの抜歯も必要に応じてご案内いたしますので、ご安心ください。


■ まとめ:親知らずが原因の“顎関節症もどき”に注意

親知らずと顎関節、一見関係なさそうに思えるかもしれませんが、実は深く関係しています。

とくに、親知らずの炎症がアゴの動きに影響を与えることはよくあり、「顎関節症っぽいけど、実は違った」というパターンもあります。

放っておくと炎症が広がったり、口の開き方に癖がついたりと、後々やっかいなことになる可能性もあるため、気になる症状は早めにご相談ください。

“本当の原因”を見極めることが、スムーズな回復への第一歩です。

次回もどうぞお楽しみに!


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)