親知らずをブリッジの支台として使う場合って?

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親知らずをブリッジの支台として使う場合って?

こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回のブログでは、少し専門的なお話になりますが、「親知らずをブリッジの支台として使う場合」についてご紹介したいと思います。

「親知らずは抜くもの」と思われがちですが、すべての親知らずがそうとは限りません。中には、残しておいた方がいい場合や、うまく活用できるケースもあります。そのひとつが、ブリッジの支台歯として親知らずを利用するというケースです。

今回は、「親知らずをブリッジに使えるかどうか」について、わかりやすくお話ししていきますね!


■ そもそも「ブリッジ」って何?

まず、ブリッジとは何かというところから簡単にご説明します。

ブリッジとは、虫歯や歯周病、事故などで歯を失ってしまったとき、その両隣の歯を土台(支台)にして、失った歯の部分に人工の歯を橋渡しするように取り付ける治療方法です。

例えば、1本歯を失った場合、その前後の歯を削って支台にし、3本分のつながった人工歯を装着するイメージです。

入れ歯よりもしっかり噛める上に、違和感も少ないため、現在もよく行われている治療方法の一つです。

ただし、ブリッジには「支台となる歯が健康であること」や「位置が適していること」など、いくつかの条件が必要になります。


■ 親知らずがブリッジの支台になるケースとは?

さて、ブリッジを作るとき、問題になるのが「失った歯の後ろ側に支台歯がない場合」です。たとえば、奥から2番目の歯(第二大臼歯)を失ってしまったとき、その後ろに通常の永久歯がないと、ブリッジを支えることが難しくなります。

そんなとき、親知らずがきれいに生えていて、かみ合わせにも問題がなければ、親知らずを支台歯として活用するという選択肢が出てくるのです。

ただし、これはあくまで「親知らずが機能的に使える状態である」ことが前提になります。


■ 親知らずを支台歯に使うメリット・デメリット

【メリット】
・失った奥歯の代わりに後方から支えることができる
・入れ歯を避けられる可能性がある
・残せる歯を有効活用できる

【デメリット】
・親知らずは斜めに生えていたり、位置がずれていることが多い
・奥にあるため、清掃がしづらく、虫歯や歯周病のリスクが高い
・かみ合わせに問題があると、ブリッジのバランスが崩れやすい
・もともと根の形が複雑なため、長期的な安定が難しいことも

つまり、使えるケースもある反面、無理に使うことでかえってトラブルになるリスクもあるということです。


■ 適さないケースもあります!

親知らずを支台歯に使うのが難しい例としては、

・親知らずが横向き・斜めに生えている
・十分に歯ぐきから出ておらず、一部が埋まっている
・すでに虫歯や歯周病がある
・かみ合わせがズレていて、うまく機能しない

などがあります。

また、ブリッジは「前後の歯がバランスよく支える」ことで安定しますので、片方が弱いと、ブリッジ全体に負担がかかってしまいます。親知らずが不安定だと、ブリッジも長くもちません。

そのため、ブリッジを検討する際には、「支台歯として本当に適しているか?」をしっかり診断することが非常に大切なのです。


■ 当院の診断と方針について

当院では、無理に親知らずを支台歯に使うことはおすすめしていません。

必要に応じて親知らずを活用する場合もありますが、
・その歯の状態(むし歯・歯周病・歯の向き)
・噛み合わせや口全体のバランス
・患者さんの年齢や将来的な見通し

などを総合的に見て判断します。
長年の経験と丁寧な診察で、患者さん一人ひとりに合った最善の方法をご提案しています。

「親知らずがあるけど、抜いた方がいいの?」「ブリッジができるのかな?」など、気になることがあれば、遠慮なくご相談くださいね。


■ まとめ:親知らず=支台歯として使えるとは限りません

親知らずは、抜くべき歯というイメージが強いですが、状態によっては役立つこともあります。

ただし、それは**“使える状態の親知らず”に限られる**という点に注意が必要です。

ブリッジの支台にするには、かなり条件が整っていなければなりませんので、自己判断は禁物。信頼できる歯科医院で、しっかり診てもらうことをおすすめします。

お口の状態に合わせた適切な治療を選び、大切な歯を守っていきましょう!


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)