女性と男性で、親知らずや歯の生え方に違いはあるのか?

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こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は少し興味深いテーマとして、「女性と男性で、親知らずや歯の生え方に違いはあるのか?」についてお話ししてみたいと思います。

歯のトラブルや治療のご相談を受ける中で、「親知らずって、女性の方が抜歯になることが多いんですか?」とか「男性は歯並びが悪くなりやすいですか?」といった声をいただくことがあります。実は、性別によって親知らずや歯の生え方に“傾向の違い”が見られることもあるのです。

今回は、歯科の視点から見た「性別による口腔の特徴や傾向」について、わかりやすくお伝えしていきますね。


あごの大きさと親知らずのスペースの関係

まず注目したいのは、「あごの大きさ」です。一般的に、女性は男性よりも顔やあごが小さめである傾向があります。これは見た目の話だけでなく、歯の生えるスペースにも関係してくるんです。

親知らず(第三大臼歯)は、永久歯の中でも最後に生えてくる歯で、10代後半〜20代前半にかけて徐々に歯ぐきから顔を出します。そのため、生えるスペースがしっかり確保されていないと、斜めや横向きに生えてしまったり、歯ぐきの中に埋まったままになってしまうことがあります。

この「スペースのなさ」は、特に女性に多く見られる傾向です。あごが小さいと親知らずが生える場所がなく、結果的に抜歯が必要になるケースが多くなるというわけです。


男性の親知らず事情とは?

一方で、男性は女性よりも骨格がしっかりしているため、親知らずがまっすぐ生えてくるケースも比較的多いです。ただし、それが必ずしも「問題がない」というわけではありません。

例えば、まっすぐ生えてきても磨きにくい場所であれば虫歯になりやすく、気づかないうちに悪化してしまうことも。また、男性は「多少の痛みは我慢する」といった傾向があるため、トラブルを放置してしまい、重症化してから来院されるケースも少なくありません。

つまり、男性は「親知らずが生えやすいけれど、トラブルの発見が遅れやすい」という特徴があるとも言えるでしょう。


ホルモンバランスと歯の健康

実は、ホルモンの影響も口の中に少なからず関係しています。

特に女性は、妊娠や出産、月経などを通してホルモンバランスが大きく変化します。このホルモンの変動は、歯ぐきの腫れや出血、歯周病の進行に関係してくるのです。

親知らずが半分だけ生えているような「中途半端な状態」の場合、周囲の歯ぐきが炎症を起こしやすいですが、ホルモンの影響を受けやすい女性は特に注意が必要です。

妊娠中に親知らずが痛み出してしまうと、レントゲンや薬の制限もある中での治療になるため、難しい判断を迫られることもあります。こうしたことから、女性は「将来のライフステージ」を見越して、早めに親知らずの状態をチェックしておくと安心です。


歯並び・顎関節の傾向にも違いあり?

性別によって歯並びやかみ合わせ、顎関節のトラブルにも傾向があります。

たとえば、女性は骨格的に関節が柔らかい傾向があるため、顎関節症(あごの関節が痛む、口が開かないなど)を訴える方が比較的多いです。

また、歯並びについても、あごの小ささから歯が並びきらずに前歯が重なってしまったり、ガタガタになったりすることもあります。こういった症状がある場合、親知らずの生え方が影響している可能性もあるため、早めの相談がカギとなります。

男性の場合は、筋肉の発達や噛む力が強く、歯ぎしり・食いしばりが強い方も多いため、親知らずの位置によっては奥歯に強い負担がかかり、痛みや歯の破折を引き起こすこともあります。


結局、一番大切なのは「個人差」

ここまで、女性・男性での傾向をいろいろご紹介しましたが、もちろんこれはあくまで“傾向”です。

実際には、同じ性別でも親知らずがまっすぐ生えて問題のない方もいれば、逆にしっかり生えていてもトラブルを起こす方もいます。つまり、「個人差が非常に大きい」ということなのです。

当院では、性別だけで判断するのではなく、お口全体のバランスや歯の状態、生活習慣などを総合的に見て、最も良い治療方針をご提案しています。

「自分は抜いた方がいいの?」「残しておけるの?」といった疑問がある方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。


まとめ:性別による違いを知って、よりよい口腔ケアを!

親知らずや歯の生え方には、男女でそれぞれ異なる傾向が見られます。

女性はあごが小さめな傾向から、親知らずがきれいに生えにくく、抜歯になるケースが多め。さらにホルモンの影響で歯ぐきの炎症も起こりやすいため、妊娠前のチェックも大切です。

男性は親知らずが生えやすい反面、痛みに鈍感で受診が遅れがちになることも。歯ぎしりや食いしばりの影響で奥歯に負担がかかるケースもあります。

こうした違いを知っておくことで、ご自身の口腔トラブルに気づきやすくなり、より早い対応が可能になります。性別だけにとらわれず、ご自身に合ったケアを心がけましょう!

気になる症状があるときは、いつでもお気軽にお声がけくださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)