こんにちは！仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓（マエザワサトシ）です。

前回のブログでは、「西洋人と東洋人で親知らずの生え方に違いがあるのか？」というテーマでお話ししました。親知らずの本数や生え方には、遺伝や顎の大きさ、食文化などが大きく関わっていて、私たちの体は思った以上に“歴史や文化の影響”を受けているんだなと、あらためて感じた方も多いのではないでしょうか？

今回はその続編として、もっと踏み込んだテーマ——
「アジア人の中でも、地域や民族によって親知らずに違いがあるのか？」
についてご紹介したいと思います。

アジア人でも違いはあるの？

アジアとひとくちに言っても、非常に広大で、さまざまな民族や地域があります。
たとえば、東アジア（日本・中国・韓国）、東南アジア（タイ・ベトナム・インドネシアなど）、南アジア（インド・ネパール・パキスタン）では、体格や顔立ちだけでなく、歯や顎の特徴も違います。

実際、ある研究では「親知らずが1本も生えてこない人」の割合が、

東アジアでは 20〜30％

東南アジアでは 10〜20％

南アジアでは 5〜10％
程度と言われています。

この違いの背景には、先祖代々の食生活や、顎の大きさ、歯の進化などが関係しています。

モンゴロイド系に多い「親知らずが生えない人」

東アジアを中心とするいわゆるモンゴロイド系（日本人、中国人、韓国人、モンゴル人など）では、親知らずがもともと「生えない（先天的欠如）」という人の割合が比較的高い傾向があります。

これは進化の過程で、柔らかい食べ物を食べる文化になっていったことで、顎が小さくなり、親知らずが生えるスペースがなくなってきたためと考えられています。結果として、親知らずそのものが“必要ない歯”として淘汰されていっているのではないか、という説もあります。

日本人もこの傾向が強く、「4本すべて親知らずが生える人」は実は半数以下とも言われています。

東南アジア・南アジア系はどうか？

一方、東南アジア（タイやフィリピン、ベトナムなど）の人々は、比較的顎が大きく、親知らずがきちんと生える人が多い傾向があります。

また、インドやパキスタンといった南アジアの人々も、遺伝的背景により顎のスペースが比較的広く、4本すべて親知らずが生えている人が多く見られます。

ただし、食文化の変化（加工食品の増加、咀嚼回数の減少など）によって、近年は若い世代を中心に「親知らずがうまく生えてこない」「歯ぐきに埋まっている」といったケースも増えてきているようです。

日本人の中でも違いがある？

実は、日本人の中でも親知らずの本数や生え方には“地域差”や“ルーツによる違い”があります。

たとえば、縄文人系の特徴を多く残す東北・沖縄などの地域では、顎が大きく、親知らずがきれいに生えてくるケースが比較的多いと言われています。

一方、弥生人系の遺伝が色濃い地域（西日本など）では、顎が小さく、親知らずが生えるスペースが足りずに斜めや横向きに埋まってしまう例が目立ちます。

もちろん、すべての人が地域の傾向に当てはまるわけではありませんが、「親知らずの状態」から自分のルーツを想像してみるのも楽しいですね！

歯科医院でできること

このように、親知らずにはかなりの“個人差”があり、それは民族や地域の違い、遺伝の要素が複雑に絡み合っています。

ですので
「親知らずが生えていないけど大丈夫？」
「横向きに生えてきたけど、これって普通？」
「将来生えるのかな？」
など、不安に感じることがあれば、自己判断せずにお気軽にご相談ください。

当院では、しっかりとした問診・視診・レントゲンなどを通して、丁寧に診断・説明することを大切にしています。
一人ひとりの状態に合わせた対応を心がけておりますので、親知らずに関するお悩みがあればいつでもお声がけくださいね。

まとめ：親知らずはアジアでも個性豊か！

親知らずの本数や生え方は、単なる「歯の問題」ではなく、民族的・文化的・進化的な背景を映す鏡のような存在でもあります。

アジア人といっても、地域やルーツによって特徴が大きく異なるというのは、とても興味深いことですね。

あなたの親知らずは、どのタイプでしょうか？

少しでも気になることがあれば、ぜひ一度チェックしてみてくださいね！

監修：デンタルフラッグ・ステージ二日町　院長　前澤訓（マエザワサトシ）

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部（東京） 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医（北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園）

ぶんぶん保育園園医（二日町園、小田原園）

少林寺拳法中拳士三段