こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。
前回のブログでは、「アジア人の中でも、地域や民族によって親知らずの生え方や本数に違いがあるのか?」というテーマでお話ししました。国や民族ごとのルーツが歯の特徴にまで影響しているというのは、なんだか不思議で面白いですよね。
今回はその続編として、もっと日本国内にフォーカスした内容—— 「日本人の中でも親知らずの本数や生え方には“地域差”や“ルーツによる違い”がある?」 についてお話ししていきたいと思います。
日本人はひとくくりじゃない?縄文人と弥生人の違い
日本人のルーツには、大きく分けて「縄文人系」と「弥生人系」という2つのグループがあります。
- 縄文人系…数万年前から日本列島に暮らしていた狩猟採集民族。
- 弥生人系…大陸から稲作文化とともに渡来した農耕民族。
この2つは骨格や顔立ち、体格などに違いがあり、実は「歯」や「顎の大きさ」にも影響を与えていると言われています。
縄文人は顎がしっかりしており、歯が並ぶスペースも広め。そのため、親知らずがまっすぐ生えやすい傾向があります。 一方で弥生人は比較的顎が小さく、歯がきれいに並ぶスペースが足りずに、親知らずが斜めや横向きに埋まることが多いのです。
地域によって違う?縄文・弥生の分布と影響
当然のことながら、現在の日本人の多くはこの2つのルーツが混ざり合っているのですが、地域によってその「比率」に違いがあるという説があります。
たとえば:
- 東北地方・沖縄地方:縄文系の特徴が強く、顎がしっかりしている人が多い → 親知らずがまっすぐ生えやすい傾向
- 関西・九州地方:弥生系の遺伝子が濃く、顎が小さめ → 親知らずが斜めや横向きになりやすい
もちろん個人差は大きいですが、こうした地域性は実際に歯科医師として診療していると、肌感覚として感じることもあります。
現代食生活も影響している?
親知らずの生え方に関係するもう一つの重要なポイントが、「食生活の変化」です。
縄文時代〜江戸時代まで、日本人はよく噛まないと食べられない“固いもの”をたくさん食べていました。これにより顎がしっかり発達し、歯が並ぶスペースも確保できていたのです。
しかし、現代は:
- 加工食品や柔らかい食事が増えた
- 咀嚼回数が少なくなった
- 顎の筋肉を使う機会が減った
こういった変化によって、若い世代を中心に「顎が小さくなる傾向」が進んでおり、結果として親知らずが正常に生えるスペースがなくなっているケースが多くなってきています。
つまり、遺伝的なルーツに加えて、現代の生活習慣も親知らずの生え方に影響を与えているということですね。
歯並びの傾向から“ルーツ”を想像してみよう!
患者さんの中には、「自分は4本きれいに親知らずが生えています」とおっしゃる方もいれば、「1本も見当たらないんですけど…」という方もいます。
これは決して異常ではなく、ルーツ・遺伝・生活習慣などさまざまな要因が複雑に関係している結果です。
そして、そんな親知らずの状態をヒントに、
- 「自分のご先祖は縄文系が強いのかな?」
- 「祖父母の出身地と自分の歯の特徴は似てるかも?」 なんて想像してみるのも、ちょっと面白いですよね。
親知らずに関するご相談はお気軽に
当院では、丁寧な問診・レントゲン・視診をもとに、しっかりとした診断と説明を心がけています。
「私の親知らずはどうなんだろう?」 「抜いた方がいいのかな、それとも様子を見ていいのかな?」 と気になることがありましたら、いつでもご相談くださいね。
まとめ:親知らずは“個性”のかたまり!
日本人といっても、実は地域差やルーツの違いが大きく関係していて、親知らずの生え方には個性があふれています。
科学的な視点からも、進化や民族の背景を知る上で「歯」は非常に面白いパーツです。
このブログを読んでくださった方が、ご自身の体やルーツに少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
そして、親知らずのことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)