親知らずが教えてくれる、あなたの“ご先祖さま”のこと

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こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、ちょっと面白い視点から親知らずについてのお話をしてみたいと思います。

みなさんは「親知らずの生え方や本数は、人によって違う」と聞いたことがありますか?
実はこの違い、ただの個人差ではなく、“ご先祖さまのルーツ”が関係していることがあるんです。

つまりあなたの親知らずの状態から、遠い昔の“ルーツ”が少しだけ見えてくるかもしれな——そんなお話です。


「親知らずがない=珍しいこと?」実はそうでもない?

そもそも、親知らずは永久歯の中で一番最後に生えてくる歯で、「第三大臼歯」または「智歯(ちし)」とも呼ばれます。上左右、下左右で合計4本が標準とされていますが、

1本も生えてこない方

1〜2本だけの方

4本すべて生えている方

まれに5本以上生えている方(超数歯)

など、そのパターンは人それぞれ。
中には「親知らずなんて一度も見たことない!」という方もいらっしゃいます。

このような違いには、現代の食生活や顎の発達状況などが関係しているという話は以前のブログでもご紹介しましたが、今回はもっと根本的なところ、人類のルーツや民族的背景にまで踏み込んでみましょう。


親知らずと「縄文人・弥生人」の関係

私たち日本人の祖先には、大きく「縄文人」と「弥生人」という二つのルーツがあります。

縄文人は狩猟や採集を中心とした生活をしていたため、硬いものをよく噛んで食べる必要があり、顎が発達していたといわれています。

弥生人は農耕を取り入れた生活に変化し、比較的柔らかいものを食べる機会が増えたため、縄文人に比べて顎が小さかったとされます。

この“顎の大きさ”の違いが、親知らずにどのような影響を与えるのでしょうか?


顎が大きいと親知らずが生えやすい?

顎がしっかり発達している人は、奥歯が並ぶスペースに余裕があります。そのため、親知らずも比較的スムーズに生えることが多いといわれています。

つまり——

縄文系のルーツが濃い人は、親知らずが生えやすい

弥生系のルーツが濃い人は、親知らずが生えにくい、もしくはまっすぐ生えにくい

という傾向が見られることがあります。

もちろんこれは“絶対”ではありませんが、統計的には一定の傾向が確認されているようです。


「あなたの親知らず=ご先祖さまからのメッセージ」かも?

では、私たち現代人の親知らずの状態を通して、どういう「ルーツのヒント」が読み取れるのでしょうか?

例えば——

4本とも親知らずがしっかり生えていて、しかもまっすぐ生えている
→ 縄文系のルーツが強い可能性がある?

1〜2本しかなく、顎も細め
→ 弥生系のルーツに近いのかも?

完全に親知らずが存在しない(レントゲンでも見えない)
→ 進化の過程で“退化”が進んでいる証拠?

もちろんこれはあくまで「可能性」の話ではありますが、こういった視点から親知らずを見ると、なんだか自分の身体がちょっと神秘的に感じられてきませんか?


実際に地域によって傾向が違う?

一部の研究によると、日本国内でも地域によって親知らずの本数に違いがあると報告されています。

北海道や東北地方:縄文系の特徴が比較的残っており、親知らずが生えている人が多い傾向

近畿〜関西〜中国地方:弥生系の影響が強く、親知らずが生えにくい人も多い

沖縄やアイヌの方々:特に縄文系の特徴が強く、親知らず4本揃っている方も少なくない

このように、日本列島の中でも“親知らずの傾向”には差があるのです。


「親知らず」と向き合うことは「自分の体と向き合う」こと

親知らずに関する診察をしていると、私たち歯科医師はよく「まっすぐ生えているか」「虫歯になっていないか」「抜いたほうがいいか」など、機能面に目を向けます。

でも、**親知らずはあなたの成長やルーツを物語る“からだの一部”**でもあります。

「どうして私だけ斜めに生えてきたのかな?」
「そもそも1本もないのはなんで?」

そんな風に、ちょっと視点を変えて親知らずを見つめてみると、ご自身の体のことをもっと深く理解できるきっかけになるかもしれません。


おわりに:あなたの“歯のルーツ”を大切に

親知らずの本数や生え方、抜くかどうかの判断は、確かに個人差があるものです。
でもその奥には、あなたの体のつくり方、ご先祖さまの生活、そして長い歴史が隠れているのです。

ちょっとロマンを感じるお話ですよね。

もし親知らずについてお悩みがあれば、医学的な視点だけでなく、“あなただけの体”としての視点からも丁寧にお話しさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)