親知らずの痛いと低気圧の関係

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こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、「親知らずの痛みと低気圧の関係」について、少し掘り下げてお話してみたいと思います。

「なんだか最近、雨が降る前に歯がうずく気がする……」 「親知らずのあたりが天気によってズキズキする……」

そんな経験をされたことはありませんか? 実はこれ、気のせいではないかもしれません。

親知らずの痛みと気圧の変化には、じんわりとした“つながり”があるのです。


低気圧が体に与える影響とは?

まず、気圧が下がる(=低気圧になる)と、私たちの体にはどんな変化が起こるのでしょうか?

低気圧になると、外から体を押さえつけている空気の圧力が弱まります。その結果、体内の組織や血管がほんのわずかに膨張したり、血流が変化したりします。これは、ごく微細な変化ですが、体が敏感に反応する方にとっては、頭痛や関節痛、古傷の痛みなど、いろいろな不調として現れることがあるのです。

歯も例外ではありません。とくに、親知らずのまわりに炎症がある場合や、埋伏している(歯ぐきや骨の中に埋まっている)親知らずがある場合は、こうした気圧の変化に敏感に反応することがあります。


親知らずと低気圧の関係

親知らずは、そもそも「まっすぐ生えてこない」「途中までしか出てこない」「歯ぐきがかぶっている」といった“問題児”であることが多い歯です。そのため、親知らずのまわりでは、知らず知らずのうちに炎症が起きていたり、周囲の歯ぐきが腫れやすい状態になっていたりすることがあります。

このような状態で低気圧が近づいてくると、

血流が変化し、腫れやすくなる

神経が圧迫されやすくなる

組織内の水分バランスが崩れ、違和感が出る

といった理由から、ズキズキとした鈍い痛みや違和感を感じやすくなるのです。

また、親知らずが中途半端に生えている場合、周囲の組織との摩擦が強まり、炎症が悪化することもあります。

さらに、飛行機に乗ったときや登山をしたときに歯が痛む、という経験をされた方もいるかもしれません。これも気圧の変化による現象で、空気を含んだ歯の内部(とくに虫歯がある歯や治療済みの歯)では、気圧の影響で痛みが出ることがあります。

親知らずの痛みも、こうした“気圧の波”に乗って現れることがあるのです。


痛みが出やすい人の特徴

低気圧と親知らずの痛みの関係は、すべての人に当てはまるわけではありません。ただし、以下のような条件に当てはまる方は、影響を受けやすい傾向があります:

親知らずのまわりに炎症がある(智歯周囲炎)

親知らずが中途半端に生えている

親知らずが骨や歯ぐきの中に埋まっている(埋伏歯)

以前から頭痛や関節痛、気圧変化による体調不良が出やすい

自律神経が乱れやすい、ストレスが多い

とくに、親知らずに慢性的なトラブルを抱えている方は、季節の変わり目や天候の悪化がきっかけで、痛みが一気に強くなることがあります。


 「とりあえず様子見」は危険なことも

「天気のせいだから、そのうち落ち着くだろう」と思って放っておいたら、どんどん腫れてきた…… というケースも少なくありません。

実際に、痛みや腫れの原因が、すでに感染や炎症の兆候である場合、気圧の変化は“引き金”に過ぎず、根本的には治療が必要な状態であることもあります。

親知らずのトラブルは、初期のうちに対応しておくことがとても大切です。痛みがひどくなってからでは、治療の負担も大きくなりがちですし、抜歯などの処置が必要になることも。

「なんとなく違和感がある」「天気が崩れると痛む」 そんなときは、ぜひ早めに歯科を受診して、親知らずの状態を確認してみましょう。


気圧による痛みを軽減するために

もしも、低気圧による親知らずの痛みが気になる場合は、以下のような工夫を試してみてください:

しっかり休息をとり、自律神経を整える

ストレスを溜め込まないように心がける

体を温め、血流を良くする(首や肩の冷えにも注意)

痛みがひどいときは、市販の鎮痛剤を使ってもOK(ただし常用は避けて)

歯磨きやうがいでお口を清潔に保つ

もちろん、こうした対策をしても痛みが続く、頻繁に起こるという場合は、根本的な治療が必要なサインかもしれません。


まとめ:気圧の変化と親知らず、意外なつながり

「天気が悪くなると歯が痛む」というのは、決して気のせいではなく、実際に体に起こりうる反応のひとつです。

とくに、親知らずのようにトラブルを起こしやすい歯は、気圧の変化による影響を受けやすいと考えられています。

痛みや違和感を感じたときには、どうぞお気軽にご相談ください。

季節の変わり目を快適に過ごすためにも、早めのケアをおすすめします。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)