こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。
今回は少しユニークなテーマを取り上げてみたいと思います。
その名も「スポーツ選手と親知らずの関係」について。
実は、オリンピックやプロスポーツの世界では、「大事な試合の前に親知らずを抜いておく」というのが、ある種の“準備”として行われているケースが少なくありません。
なぜそんなことを?と思われるかもしれませんが、これにはちゃんと理由があるんです。
急な炎症や痛みは、大一番の敵
親知らずというのは、普段は特に症状がなくても、ある日突然、腫れたり、痛みが出たりすることがあります。特に親知らずの周りにある「智歯周囲炎」と呼ばれる炎症は、疲労やストレス、免疫力の低下などが引き金になることが多いです。
スポーツ選手が大会や試合を控える時期というのは、まさに体力や精神面が極限まで張りつめるタイミング。こういったときに、親知らずが急に腫れてしまえば、パフォーマンスに大きく影響してしまいます。
そのリスクを避けるため、あらかじめ親知らずを抜いておくという判断がされるのです。
炎症の波及リスクと全身コンディションへの影響
親知らず周囲に炎症が起こると、発熱を伴うこともあります。また、痛みで食事が摂りにくくなると、栄養状態にも影響を及ぼします。
さらには、歯の痛みによって眠れなくなったり、集中力が低下したりと、日常生活にも支障が出てしまいます。
アスリートにとって、「ほんのちょっとの違和感」が命取りになることも。
だからこそ、親知らずが将来的に問題を起こすリスクが高い場合、特に埋まっているタイプ(埋伏智歯)などは、試合前に計画的に抜歯することがあるのです。
実際に抜歯を選んだスポーツ選手たち
例えば、海外の有名なテニス選手やサッカー選手の中には、大会前に親知らずを4本まとめて抜いたという話も。
また、日本のプロ野球選手や柔道、陸上のアスリートなどでも、親知らずが原因で試合に出られなかった過去がある選手もいます。
こういったエピソードはあまりメディアで語られませんが、実際の医療現場では珍しくない話です。
一般の方にも関係ある話?
「プロスポーツ選手の話でしょ?」と思われるかもしれませんが、実は私たち一般の方にも通じるところがあります。
たとえば、結婚式・旅行・就職試験など、大事なイベントを控えているとき。そういうときに限って親知らずが痛み出す……なんて経験をされた方もいるのではないでしょうか?
身体が緊張状態にあるとき、親知らずの炎症も起きやすくなります。「なんだか最近違和感あるな」と感じていたら、早めにチェックしておくのが安心です。
抜くタイミングは慎重に
とはいえ、「じゃあ今すぐ抜かなきゃ!」というわけではありません。親知らずの抜歯は、体への負担や術後の経過も考慮して、タイミングを見計らう必要があります。
抜歯後は一時的に腫れたり、口が開けづらくなったり、食事がしにくくなることもあります。大事な予定や試験がある時期は避けて、余裕のあるときに行うのがおすすめです。
また、すべての親知らずが抜かなければならないわけでもありません。位置や向き、清掃状態によっては、経過観察で問題ない場合もあります。
まとめ:備えあれば憂いなし
スポーツの世界では、コンディションを整えるために親知らずを抜いておくことが“勝つための戦略”のひとつになっています。
私たちも、日常の中で大事なタイミングを台無しにしないよう、親知らずの存在を見直しておくのは、大切な自己管理のひとつかもしれませんね。
「抜く・抜かない」については、歯科での診断が欠かせません。 気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)