親知らずと長時間フライトの関係

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こんにちは!仙台市の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回のテーマは、飛行機に乗る機会が多い方、特に海外旅行や出張、留学などで長時間フライトを予定している方に向けた内容です。

「長時間のフライト前に親知らずを抜いておいたほうがいいって本当?」 「飛行機と親知らずに、なにか関係があるの?」

実はあるんです。今回は、あまり知られていない「親知らずとフライトの関係」について、詳しくお話していきます。


気圧の変化が痛みを引き起こす?

飛行機に乗ると、離陸時や着陸時に耳がキーンとしたり、ポップ音がしたりすることがありますよね。これは「気圧の急激な変化」が原因です。

実は、この気圧の変化は、歯にも影響を与えることがあります。

特に、親知らず周囲に炎症や膿がたまっていたり、親知らずが中途半端に生えていたり、埋伏していたりすると、その圧力変化によって痛みや違和感を引き起こすことがあるんです。

この現象は「航空性歯痛(こうくうせいしつう)」とも呼ばれており、虫歯や根の病気がある場合も同様に、痛みが増すことがあります。

親知らずの状態によっては、飛行機に乗ったとたんにズキズキと痛み出すことも。これが長時間のフライトで起きてしまうと、かなりつらい思いをすることになります。


海外ではすぐに治療できない?

たとえば、海外旅行や留学中に親知らずが腫れて痛み出した場合、どこに行けばいいか分からなかったり、言語の問題でうまく説明できなかったりと、すぐに適切な治療が受けられない可能性もあります。

さらに、国によっては歯科治療費が高額だったり、保険が適用されなかったりするケースも。

こうした理由から、「飛行機に乗る前に、一度親知らずの状態を確認しておいた方が安心ですよ」というお声が増えてきているのです。


航空性副鼻腔炎との関連も

親知らずの痛みと似た症状で、「航空性副鼻腔炎」というものもあります。こちらも気圧の変化によって、副鼻腔内に炎症や痛みが出るものです。

上の親知らずが副鼻腔(上顎洞)に近接している場合には、親知らず由来の炎症が副鼻腔まで波及し、フライト中に痛みを感じることも。

「歯が痛いのか、鼻が痛いのか分からないけど、飛行機に乗ってるときにズキッとくる」というケースでは、親知らずが関係している可能性も考えられます。


どんな状態の人が注意すべき?

特に注意したいのは、以下のような方です:

  • 親知らずが少しだけ顔を出している(半埋伏)
  • 親知らずの周囲がときどき腫れる
  • 親知らずのあたりに違和感・圧迫感がある
  • 以前から親知らずに問題があると言われたことがある

こうした場合、フライトによって症状が悪化するリスクがあるため、事前に歯科を受診しておくことが推奨されます。


抜歯するかどうかの判断は?

「じゃあ飛行機に乗る前に親知らずを全部抜いたほうがいいの?」と思うかもしれませんが、もちろん全員が抜く必要はありません。

重要なのは、「問題を起こしそうかどうか」です。

親知らずの位置、向き、歯ぐきとの関係、炎症の有無などを診察し、必要があればレントゲンで確認しながら、リスクの高い親知らずだけを計画的に抜歯するという方法が一般的です。

抜歯後は一時的に腫れや痛みが出ることもあるため、できれば出発の1か月以上前に処置を終えておくのが安心です。


まとめ:飛行機に乗る予定がある方は、ぜひご相談を

親知らずと長時間フライトには、実は深い関係があることをご紹介しました。

「まだ痛んでないから大丈夫」と思っていても、気圧の変化が引き金となって、急に痛み出すこともあるのが親知らずの厄介なところ。

とくに海外旅行や留学、出張など、大切な予定を控えている方は、ぜひ一度、親知らずの状態をチェックしてみてはいかがでしょうか?

早めに準備しておくことで、安心して旅を楽しむことができますよ。

気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)