こんにちは！仙台市の歯科クリニック「デンタルフラッグ・ステージ二日町」の院長、前澤訓（マエザワサトシ）です。
今回は、「親知らずと自律神経の乱れって関係あるの？」という、ちょっと意外なテーマでお話ししてみたいと思います。
「歯」と「自律神経」なんてまったく別の話に思えるかもしれませんが、実はお口の状態と全身のバランスには深い関係があることが、近年の医療でも注目されています。
自律神経とは？まずは簡単におさらい
「自律神経」は、私たちの意思とは関係なく、体の働きを自動で調整してくれる神経です。たとえば、
- 心拍や血圧の調整
- 消化活動
- 体温の維持
- 呼吸のリズム
といった機能を、昼も夜も、寝ている間もずっと担っています。
この自律神経には「交感神経（興奮・活動モード）」と「副交感神経（リラックス・休息モード）」があり、これがバランスよく働くことで、私たちは健康を保つことができます。
しかし、ストレスや生活習慣の乱れによりこのバランスが崩れると、
- なんとなく不調が続く
- 頭痛やめまい、耳鳴り
- 睡眠の質が悪い
- 常に疲れている
などの「自律神経失調症」のような症状が現れることがあります。
親知らずと自律神経、一見関係なさそうだけど…？
親知らずが自律神経に直接作用するわけではありません。ですが、親知らずによって引き起こされる「間接的な影響」が、自律神経のバランスを乱す原因になることがあるのです。
たとえば、こんなケースが考えられます：
- 親知らずが痛む → 慢性的なストレスになる
- 食事や睡眠に支障が出る → 生活リズムが乱れる
- 噛み合わせが崩れる → 顎の筋肉が緊張し続ける
- 顎関節の違和感や痛み → 首・肩の緊張 → 緊張型頭痛や自律神経の不調
つまり、親知らずを原因とした身体の“ゆがみ”や“ストレス”が、自律神経にも悪影響を与える可能性があるのです。
顎・歯の不調と「交感神経の興奮」
歯の痛みや顎の違和感が続くと、身体は常に“緊張状態”になります。これは交感神経が優位になる状態。
交感神経が過剰に働いていると：
- 寝つきが悪くなる
- 食欲が落ちる
- 血圧が上がる
- 胃腸の働きが低下する
などの症状が起きる可能性があります。
また、夜間に歯ぎしりや食いしばりがある方は、これが無意識の緊張状態を引き起こしていることも多く、
- 起床時の疲労感
- 顎のだるさ
- 頭痛や肩こり
といった自律神経の乱れに似た症状を感じる方も少なくありません。
親知らずが原因で噛み合わせや咀嚼バランスが崩れている場合、こうした悪循環を引き起こしていることがあるのです。
実際にあった症例から
当院でも、以下のようなご相談がありました：
「最近ずっと疲れていて、眠りも浅く、体がだるい。検査をしても異常はなく、ふと気になって親知らずのことを相談したところ、レントゲンで横向きに埋まっていることが判明。抜歯後、しばらくしてから以前よりも身体が軽く感じるようになった」
もちろんすべての不調が親知らずのせいとは言えません。ただ、身体に不調が続いているとき、口の中――特に親知らずの状態にも目を向けてみることは、健康を見直す大切なヒントになることがあります。
自律神経を整えるためにできること
もし「最近なんとなく不調が続く」「眠りが浅い」「肩や首がずっとこっている」と感じている方は、
- 親知らずの状態をチェックしてみる
- 歯ぎしり・食いしばりの有無を確認する
- 姿勢や生活習慣を見直す
- ストレッチや深呼吸でリラックスする時間をつくる
といったことを意識してみてください。
そして、親知らずに痛みや違和感がある場合は、放置せずに歯科で相談することが大切です。
まとめ
「歯」と「自律神経」。
一見無関係のように思えるこの2つですが、実は親知らずをはじめとしたお口のトラブルが、体のバランスや自律神経の働きに間接的な影響を与えることがあるのです。
ちょっとした不調が続いているときは、お口の中も見直してみることをおすすめします。歯と全身は、思っている以上に深くつながっているのです。
親知らず含め、お口の中に関するご相談がありましたら、いつでもお気軽にご連絡くださいね！
監修：デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓（マエザワサトシ）
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部（東京） 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医（北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園）
ぶんぶん保育園園医（二日町園、小田原園）
少林寺拳法中拳士三段
（2025年4月現在）
