こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は、親知らずにまつわるちょっと不思議なウワサについてお話ししていきます。
「親知らずを抜いたあと、なんだか顎がほっそりしたような気がする」「骨が減ってしまうんじゃないの?」
患者さんからそういった声をいただくことがあります。 見た目の変化を感じたり、噂で聞いたりして不安になる方もいらっしゃいますが、果たして本当に“顎の骨が細くなる”ことがあるのでしょうか?今回は、その真相についてやさしく解説していきます。
親知らずを抜くと骨が減るのは本当?
結論からいえば、「親知らずの周囲の骨が多少吸収されることはあるが、顎の骨全体が“細くなる”わけではない」というのが正しい理解です。
親知らずを抜くと、その部分には空間ができます。これを「抜歯窩(ばっしか)」といい、時間とともに周囲の骨や組織によって埋められていきます。ただし、その過程で親知らずの周囲の骨が多少吸収されて、わずかに痩せることはあります。
ですが、これは「抜いた部分」限定の変化であり、顔の輪郭が大きく変わるほどではありません。
「顎がほっそりした気がする」の正体は?
それでも、「抜歯後に顔がすっきりした」「顎のラインがシャープになった」と感じる方がいるのは事実です。
この原因として考えられるのは次のようなものです:
● 腫れや炎症の解消
親知らずが埋まっている状態で慢性的な炎症を起こしていたり、周囲の組織がむくんでいたりすると、知らず知らずのうちに頬や顎のラインがふっくら見えることがあります。
その状態が解消されることで、相対的に「顔がすっきりした」と感じることがあるのです。
● 噛みしめ癖や筋肉の緊張が減る
親知らずが生えていることで、無意識に奥歯に力が入ってしまう方もいます。抜歯後、噛みしめが減ったり、顎まわりの筋肉の緊張が緩んだりすると、フェイスラインが変化することもあります。
これも「骨が細くなった」わけではなく、「筋肉の緊張が和らいだ」ことによる変化です。
骨が本当に細くなるのはどんな時?
親知らずの抜歯とは関係なく、次のような場合には“顎の骨が実際に痩せる”ことがあります:
- 長年にわたって歯を失ったままにしている(特に奥歯)
- 義歯が合っておらず、骨に過剰な負担がかかっている
- 強い歯ぎしり・くいしばりによって骨が吸収されている
- 加齢やホルモンの変化による骨密度の低下
これらは“顎の骨が細くなる・減る”現象ですが、親知らずの抜歯単独でそのような著しい変化が起こることは通常ありません。
抜歯後の骨のケアって必要?
抜歯後の骨は、放っておいても自然に治癒していきますが、周囲の健康な骨を維持するためには以下のようなケアが大切です:
- 抜歯後は患部を清潔に保つ(うがい薬など)
- 傷口を刺激しないようにする(舌で触らない、強くゆすがない)
- 骨や歯ぐきにやさしい栄養をとる(タンパク質・ビタミンC・カルシウム)
また、親知らず以外の歯も含めて、歯周病予防や噛み合わせのチェックを受けることも大切です。
親知らずの抜歯で「顔が変わる」と言われる理由
ネットやSNSでは、「親知らずを抜いたら顔が小さくなった!」「フェイスラインがシャープになった!」という声もよく見かけます。
これは、前述のように
- 炎症やむくみが取れた
- 顎周りの筋肉の緊張がなくなった
- 痛みが減って表情が柔らかくなった
といった要素が複合的に重なった結果、顔つきや印象が変わったように感じられるのだと考えられます。
実際には骨が細くなったわけではないことがほとんどです。
まとめ:「骨が細くなる」は“誤解”が多い表現
親知らずの抜歯で骨が極端に細くなるということは、通常は起こりません。
ただし、周囲の組織が落ち着いたり、筋肉の状態が変わったりすることで、見た目の印象が変化することはあります。
「骨が痩せるのでは?」と不安に思われる方は、ぜひ歯科医院での診察をおすすめします。
安心して抜歯を受けるためにも、わからないことは遠慮なくご相談くださいね。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年4月現在)