唇や口の中を切ってしまったら・・・

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こんにちは!仙台の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』の院長、前澤訓(マエザワサトシ)です。

今回は、意外と多い「唇や口の中を切ってしまったとき」のお話です。 転んだり、スポーツ中にぶつかったり、誤って噛んでしまったり…日常生活の中で、口の中をケガすることは誰にでも起こり得ますよね。出血が多いと驚いてしまうかもしれませんが、実際に縫う必要があるケースと、自然に治るケースには明確な違いがあります。

このブログでは、唇や口内の傷の判断ポイント、応急処置、歯科での対応まで、わかりやすく解説していきます!


なぜ口の中の傷は出血しやすいの?

口の中には細かい血管が豊富に通っており、少し切っただけでも意外と大量の出血を伴います。また、粘膜がやわらかく薄いため、思ったよりも簡単に傷ついてしまいます。

たとえばこんな場面での受傷が多くみられます:

  • 転倒や事故で顔をぶつけた
  • スポーツ中の衝突やボールによる衝撃
  • 突然のけいれんや歯ぎしりによる誤咬(誤って自分の口を噛んでしまう)
  • 入れ歯や矯正装置による粘膜の傷

「縫う必要がある」かの判断ポイント

傷を見て「これって自然に治るのかな?病院に行った方がいいのかな?」と迷う方も多いと思います。以下のような場合は、歯科や口腔外科の受診をおすすめします。

■ 傷が深く、出血が止まらない

  • 10分以上しっかり圧迫しても出血が続く場合
  • 出血量が多く、ティッシュやタオルがすぐに血で染まる場合

■ 傷の長さが1cm以上ある

  • 唇や舌の裂傷で、皮膚や粘膜が「ぱっくり」開いている

■ 傷の縁がギザギザ・不整な場合

  • 傷の治りが悪く、傷跡が残る可能性があります

■ 外傷と同時に歯が折れている、ぐらついている

  • 歯科的な治療が必要な場合、同時に口腔外科処置が必要になることも

■ 頬の内側に物が刺さったままになっている

  • 異物(割り箸、ペン、歯ブラシなど)が刺さった場合は、自己判断せず専門的処置を

これらに当てはまる場合は、**縫合処置(縫うこと)**が必要になる可能性があります。


実際の治療の流れ

歯科口腔外科では、以下のような流れで処置を行います:

① 診察・止血処置

まずは傷の深さや範囲を確認し、出血が続いていれば止血を行います。

② 必要に応じて麻酔

傷の縫合が必要な場合、局所麻酔を使用します。麻酔はほんの数分で効いてきますので、痛みは最小限に抑えられます。

③ 清掃・縫合

傷口をしっかり洗浄・消毒した後、細い糸で丁寧に縫合します。通常、数針(1〜5針程度)で済むことが多いです。

④ 抗菌薬や鎮痛薬の処方

感染を防ぐため、抗菌薬や痛み止めを処方する場合があります。

⑤ 抜糸のタイミング

通常、1週間〜10日程度で抜糸します。縫いっぱなしにせず、経過観察が必要です。


自宅でできる応急処置

外傷直後には、以下の方法で応急処置を行いましょう。

  • 清潔なガーゼでしっかりと圧迫止血(5〜10分)
  • 流水でやさしく洗い流す(砂・汚れがついている場合)
  • 冷たいタオルや保冷剤で口元を冷やす(腫れ防止)

なお、ティッシュや脱脂綿は粘膜にくっついてしまうことがあるため、できればガーゼを使用しましょう。


放置してもいいケースとは?

もちろん、すべての口内の切り傷が縫う必要があるわけではありません。

次のようなケースでは、多くの場合、自然に治癒します:

  • 表面的な浅い傷で出血がすぐに止まった
  • 長さが5mm以下の裂傷で、ぱっくり開いていない
  • 自分で誤って噛んでしまった程度で、痛みも軽い

口の中の粘膜は再生力が高いため、小さな傷であれば2〜3日でふさがってくることがほとんどです。

ただし、治りが悪い、膿が出てきた、赤く腫れてきた…などがあれば、感染の兆候かもしれませんので、念のため歯科医院を受診しましょう。


よくある質問(Q&A)

Q. 子どもが口の中を切りました。様子見で大丈夫?

→ 出血が止まり、食事や会話に支障がなければ様子を見ても大丈夫ですが、深く裂けていたり、泣き止まない・飲食ができない場合は受診をおすすめします。

Q. 傷がある状態で食事してもいいですか?

→ 刺激の強いもの(熱い・辛い・塩分濃いもの)は避けましょう。やわらかくて冷たいもの(ゼリー・おかゆ・ヨーグルトなど)が安心です。

Q. 傷跡は残りますか?

→ 粘膜の再生力は高いため、ほとんどの場合、目立つ傷跡は残りません。外見的に気になる部位(唇など)は丁寧に縫合して跡が残りにくいよう配慮します。


最後に:口の中のケガも口腔外科へ

「唇を切っただけだから」と軽く見てしまいがちですが、 見た目よりも深い傷だったり、傷口がうまくふさがらないケースも少なくありません。

歯科口腔外科では、顔面のケガや口の中の外傷にも対応しています。 「縫うほどかな?」「傷が心配…」と思ったら、どうぞお気軽にご相談くださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身

日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業

2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長

宮城県歯科医師会代議委員

宮城県歯科医師連盟評議委員

宮城県日本歯科大学校友会理事

社会福祉法人未来福祉会理事

仙台市立広瀬中学校校医

ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)

ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)

少林寺拳法中拳士三段

(2025年4月現在)