こんにちは!仙台市青葉区の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
「年をとったら、歯ぐきが下がるのは仕方ないよね」
「歯がグラグラしてきたけど、歳のせいだから…」
そんなふうに思っていませんか?
実はそれ、歯周病のサインかもしれません。
歯周病は年齢を問わず誰でもかかる病気ですが、高齢者に特に多く見られるのも事実です。
今回は、なぜ高齢者に歯周病が多いのか、そしてどう予防すればいいのかを、
わかりやすくお話ししていきます。
歯周病ってどんな病気?
歯周病とは、歯を支える歯ぐきや顎の骨が細菌によって壊されていく病気です。
はじめは「歯ぐきの腫れ」「ブラッシング時の出血」など、軽い症状から始まりますが、
進行すると、歯がグラグラしてきたり、最悪の場合は自然に抜けてしまうことも。
初期は痛みが出にくく、自覚しづらいことから、**“沈黙の病気”**とも言われています。
なぜ高齢者に歯周病が多いの?
年齢を重ねることで、歯周病になりやすくなる要因がいくつかあります。
① 免疫力の低下
加齢により体の免疫力が落ち、歯ぐきの炎症が慢性化しやすくなります。
② 唾液の減少
高齢になると唾液の分泌量が減り、口の中が乾きやすくなります。
唾液には細菌を洗い流す自浄作用があるため、唾液が減ると細菌が増殖しやすくなるのです。
③ 歯ぐきや骨の変化
加齢とともに、歯ぐきがやせてきたり、歯槽骨(歯を支える骨)も少しずつ吸収されます。
その結果、歯周ポケットが深くなり、歯周病菌がたまりやすくなる傾向があります。
④ 過去の蓄積
若いころに気づかずに進行した歯周病が、時間をかけて悪化し、
高齢になってから症状として現れるケースもあります。
歯周病が進行するとどうなる?
高齢者において歯周病が進行すると、次のような問題が生じやすくなります。
- 歯の脱落(抜けてしまう)
- 入れ歯が合わなくなる
- 噛めないことで食事が偏る・栄養不足になる
- 会話がしにくくなり、コミュニケーションに支障が出る
- 認知症や糖尿病など、全身の健康リスクが高まる
歯が抜けると、噛む力が極端に低下し、全身の健康にも影響してきます。
歯を守ることは、「健康寿命」を延ばすためにも大切なカギとなるのです。
高齢者の歯周病予防のポイント
では、どうすれば歯周病を防げるのでしょうか?
ここでは、高齢者の方に特に意識していただきたいポイントをご紹介します。
① 毎日の歯みがきを見直そう
加齢とともに手先の器用さが落ちてきたり、目が見えにくくなったりすることで、
「みがいているつもり」でも磨き残しが増えてしまうことがあります。
- 毛先の細い歯ブラシを使う
- 小さめのヘッドで奥まで届くものを選ぶ
- 握りやすい太めの柄を選ぶ
- 鏡を見ながらゆっくり丁寧に磨く
こうした工夫だけでも、磨き残しを減らすことができます。
② 歯間ブラシやフロスも活用を
高齢になると歯と歯の間に隙間ができやすくなります。
そのため、歯ブラシだけでは取りきれない汚れがたまりがちです。
- 歯間ブラシで優しくこすって汚れを除去
- ブリッジや部分入れ歯の周りも忘れずに
- フロスは無理せず、使いやすいホルダー付きのものを選びましょう
③ うがいや保湿剤でお口を清潔に
口の中が乾きやすい方には、唾液の分泌を助けるケアがおすすめです。
- こまめに水分を摂る
- 唾液腺マッサージをする
- うがい薬や保湿ジェルを活用する
口腔内の潤いが保たれることで、細菌の繁殖が抑えられます。
④ 入れ歯の清掃もお忘れなく
入れ歯を使用している方は、入れ歯の汚れからも細菌が繁殖することがあります。
- 入れ歯は毎食後、専用ブラシで洗う
- 寝る前には必ず外し、清掃と消毒を行う
- 長年使っている場合は、歯科医院での調整や再作製を検討
⑤ 定期的に歯科でメンテナンスを
「痛みがないから大丈夫」と思わずに、
3〜6か月に1回の定期検診を受けていただくことで、
歯ぐきの健康状態を維持しやすくなります。
- 歯石の除去
- 歯ぐきの炎症チェック
- 入れ歯やブリッジの確認
- ブラッシング指導や生活習慣のアドバイス
- 自分では気づきにくい歯周病の兆候を、プロがしっかり見極めます。
ご家族のサポートも大切です
ご高齢の方が歯科医院に通うのが難しい場合は、
ご家族の声かけや付き添い、また訪問診療の活用も有効です。
「最近、口臭が気になる…」
「食事中に歯が気になるような仕草がある」
「歯みがきが億劫そう」
このような小さな変化も、歯周病のサインかもしれません。
地域の歯科医院では、訪問診療や在宅ケアにも対応している場合があるため、
気になる方はぜひ一度ご相談ください。
まとめ
齢になると歯周病のリスクは高まりますが、
正しいケアと定期的な歯科受診を続けることで、歯を守ることは十分可能です。
歯は「健康」「食事」「会話」など、毎日の生活と深く関わる大切なパートナーです。
人生100年時代。
最後までご自身の歯で食べて話して笑えるように、
今日からできるケアを始めていきましょう!
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年7月現在)