こんにちは。仙台市青葉区二日町の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町 』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
「歯周病って、治療って言ってもどんなことをするの?」
「痛い治療なんじゃないの?」
「歯石取りってすごくしみるイメージがある…」
歯周病の治療について、こんな風にちょっと身構えてしまう方は少なくありません。
確かに歯周病の治療は一度で終わるものではなく、ある程度のステップを踏みながら進めていきます。
でも、流れを知っておくと「なるほど、こういう手順で進むんだな」と安心して通えるはずです。
今日は、そんな 歯周病治療の基本的な流れ を、できるだけわかりやすくご紹介します。
ステップ1:まずは検査からスタート
歯周病の治療は、いきなり歯を削ったり抜いたりするわけではありません。
最初に行うのは 「お口の中の状態を調べること」 です。
歯周病の進行度は人によってさまざま。
軽い歯肉炎で済んでいる方もいれば、歯を支える骨にまでダメージが及んでいる方もいます。
主な検査内容はこんな感じです。
歯周ポケットの測定
歯ぐきと歯の間にある溝の深さを測ります。健康な歯ぐきは2〜3mm程度ですが、歯周病が進むと5mm以上になることも。出血の有無の確認
歯ぐきをそっと触ったときに出血があるかどうか。炎症のバロメーターになります。歯の動揺度チェック
歯を指で軽く揺らして、ぐらつきがあるかを調べます。レントゲン撮影
歯を支えている骨(歯槽骨)がどれくらい残っているかを確認します。
検査をしっかり行うことで、その人に合った治療計画を立てられるのです。
ステップ2:歯みがき指導
歯周病治療の第一歩は、なんといっても ご自身の歯みがき(セルフケア) です。
どんなに歯医者で治療しても、毎日の歯みがきがうまくできていなければ効果は長続きしません。
「え?歯みがきなら毎日してるけど?」という方も多いのですが、実際には自己流のクセで 磨き残しが多い ことがほとんどです。
そのため歯科医院では、
- 効果的なブラシの当て方
- デンタルフロスの使い方
- お口に合った歯ブラシの選び方
などをお伝えします。
「歯みがき指導なんて子どもが受けるもの」と思われるかもしれませんが、実は大人にこそ必要なんです。
ステップ3:スケーリング(歯石取り)
歯周病の原因は プラーク(歯垢)。
これは歯ブラシで落とせますが、長い間放置されると石のように硬くなり 歯石 に変化します。
歯石はもう歯ブラシでは取れません。
そこで登場するのが、スケーラーと呼ばれる器具。
「キーン」という音を立てて超音波で歯石を粉砕する機械をイメージされる方も多いと思います。
スケーリングでは、歯の表面や歯ぐきの上に付着した歯石を取り除きます。
この段階で「歯ぐきからの出血が減った」「口臭が気にならなくなった」と感じる方も少なくありません。
ステップ4:ルートプレーニング(歯ぐきの下の歯石取り)
歯周病が進行している場合、歯ぐきの中(歯周ポケットの奥)にも歯石がこびりついています。
ここは歯ブラシでは絶対に届かない場所。
ルートプレーニングでは、専用の器具を使って 歯の根の表面についた歯石や毒素を丁寧に取り除き、ツルツルに仕上げる 作業を行います。
「ちょっとしみる…」ということはありますが、必要に応じて麻酔を使いますので、強い痛みを感じることはありません。
この工程は根気のいる作業ですが、ここまできちんとやることで歯ぐきの炎症が改善しやすくなります。
ステップ5:再評価
歯石を取り終えたら「治療おしまい!」ではありません。
もう一度検査をして、歯ぐきの状態がどう変化したかを確認します。
- 歯周ポケットの深さが改善しているか
- 出血の有無はどうか
- 歯の動揺は落ち着いたか
もし改善していれば、その状態を維持できるように定期検診に移行します。
もしまだ深いポケットや炎症が残っていれば、外科的な処置が検討される場合もあります。
ステップ6:メンテナンス(定期検診)
歯周病治療のゴールは「治して終わり」ではありません。
むしろ大切なのは、その後 いい状態を維持し続けること です。
歯周病は再発しやすい病気。
いくら歯石を取ってきれいにしても、時間が経てばまた少しずつ汚れはたまります。
そのため、数か月ごとのメンテナンス(定期検診)で
- プロによるクリーニング(PMTC)
- 歯ぐきのチェック
- ブラッシング方法の見直し
を行い、再発を防ぐことが欠かせません。
「治療」というより「改善の積み重ね」
歯周病治療と聞くと、「手術」「抜歯」といった怖いイメージを抱く方もいますが、実際の基本の流れは
- 検査
- 歯みがき指導
- 歯石取り
- 歯ぐきの下のクリーニング
- 再評価
- メンテナンス
と、地道に積み重ねていく作業です。
もちろん重症の場合には外科的な治療が必要になることもありますが、多くの方はこの基本の流れで大きく改善します。
まとめ
- 歯周病治療は「検査」から始まり、「歯みがき指導」「歯石取り」を経て進んでいく
- 一度きれいにしても放置すると再発するため、定期的なメンテナンスが欠かせない
- 治療は地道な積み重ね。怖いイメージより「少しずつ改善していくもの」と捉えると安心
歯周病は「沈黙の病気」と呼ばれ、気づかないうちに進行してしまうことが多いです。
でも、正しい流れで治療を進めていけば確実に改善します。
「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」そんなサインがあれば、ぜひ早めに歯科を受診してくださいね。
監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)
宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年8月現在)