こんにちは。仙台市青葉区の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
寒い季節になると、体が冷えたり、風邪をひきやすくなったりしますよね。
そんな中で意外と見落とされがちなのが――「歯ぐきのトラブル」。
「最近、歯ぐきがムズムズする」
「ブラッシングで血が出るようになった」
「歯が浮いた感じがする」
このような症状、実は**冬に起こりやすい“季節性の歯ぐきトラブル”**かもしれません。
今日は、寒い季節に歯ぐきが不調を起こしやすい理由と、その対策についてお話しします。
なぜ冬に歯ぐきのトラブルが増えるの?
冬に歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりする理由はいくつかあります。
主な原因は次の3つです。
① 体の免疫力が下がるから
寒さで体温が下がると、血行が悪くなり、免疫力も落ちてしまいます。
免疫が下がると、歯周病菌などの細菌に対する抵抗力も弱まり、炎症が起こりやすくなります。
つまり、冬の歯ぐきトラブルは**「風邪のように感染しやすい季節の影響」**も受けているのです。
② 空気の乾燥による“ドライマウス”
暖房の効いた部屋に長時間いると、空気が乾きます。
乾燥すると唾液の分泌が減り、口の中が乾いてしまいます。
唾液には、細菌を洗い流す「自浄作用」や、口内環境を整える「抗菌作用」があります。
その唾液が減ると、歯ぐきの周りに細菌がたまりやすくなり、**炎症(歯肉炎・歯周炎)**を引き起こしてしまうのです。
③ 冷えによる血流の悪化
体が冷えると、血液の流れが滞りやすくなります。
血流が悪くなると、歯ぐきに酸素や栄養が届きにくくなり、回復力が低下します。
歯ぐきの色が悪く見えたり、腫れぼったく感じたりするのも、この血行不良が原因のひとつです。
冬の歯ぐきトラブルのサインを見逃さないで
冬に特に多いのが、歯肉炎や軽度の歯周炎です。
次のような症状に心当たりがある方は、早めにチェックを受けましょう。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯ブラシの先に血がつく
- 朝起きたとき、口の中がネバネバする
- 歯が浮いたような感じがする
- 冷たいものや歯みがき時に痛みを感じる
これらは、**「歯ぐきのSOSサイン」**です。
放置しておくと、歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ溶けていく「歯周病」に進行することもあります。
冬こそ見直したい!歯ぐきの守り方
では、寒い季節に歯ぐきを守るにはどうすればよいのでしょうか?
ポイントを5つご紹介します。
① しっかり温めて血流アップ
歯ぐきも体の一部です。
冷え性の方は特に、血の巡りを良くすることが大切です。
首・足首・お腹など、「3つの首」を温めると全身の血行が改善され、歯ぐきへの血流も良くなります。
また、ぬるめのお湯でうがいをすると、口の中の冷えもやわらぎます。
② 水分補給と加湿で乾燥対策
冬は気づかないうちに体も口も乾いています。
「のどが渇いた」と感じる前に、こまめに水を飲む習慣をつけましょう。
また、部屋では加湿器を使ったり、濡れタオルをかけたりして湿度を保つのもおすすめです。
口呼吸になっている方は、鼻呼吸を意識するだけでも口の乾きを防げます。
③ 歯みがきを丁寧に、でも力を入れすぎず
寒い夜はつい「早く寝たい!」と歯みがきをサッと済ませがちですが、夜のケアはとても大事です。
特に就寝中は唾液の分泌が減るため、細菌が増えやすくなります。
歯と歯ぐきの境目をやさしくマッサージするように磨きましょう。
力を入れすぎると、歯ぐきを傷つけて逆効果になるので要注意です。
磨き残しが不安な方は、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると◎です。
④ 食事で歯ぐきを内側からサポート
冬の食卓には温かい鍋や煮込み料理が多くなりますが、栄養バランスにも注目してみましょう。
歯ぐきの健康には、ビタミンC・カルシウム・たんぱく質が欠かせません。
おすすめの食材は:
みかん、ブロッコリー(ビタミンC)
牛乳、小魚(カルシウム)
鶏肉、豆腐、卵(たんぱく質)
冷え対策にもなる食材をしっかり取り入れながら、体の中から歯ぐきを守りましょう。
⑤ 定期的な歯科検診を忘れずに
冬は年末年始の忙しさや天候の影響で、歯科受診を後回しにしてしまう方が多い季節です。
しかし、炎症がひどくなる前に発見することが、治療の負担を減らす一番のポイント。
「最近、歯ぐきがむずむずする」
「冷たいものでしみる」
そんな小さな変化でも、ぜひ早めにご相談ください。
冬の“生活リズム”が歯ぐきにも影響する
冬は日照時間が短くなり、体内リズムが乱れやすい季節でもあります。
睡眠不足やストレスが続くと、自律神経が乱れ、唾液量が減って口の中が乾きやすくなります。
また、ストレスによる「食いしばり」や「歯ぎしり」も歯ぐきにダメージを与えます。
朝起きたときにあごがだるい方は、夜間の食いしばりが起きているかもしれません。
その場合は、**ナイトガード(マウスピース)**を使うことで、歯や歯ぐきへの負担を軽減できます。
まとめ:寒い季節も“お口の健康”を忘れずに
寒さが厳しい冬は、体だけでなくお口の健康にも変化が出やすい季節です。
免疫の低下・乾燥・血行不良などが重なって、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。
でも、毎日の少しの工夫でトラブルは防げます。
今日からできる冬の歯ぐきケアポイント
- 体を温めて血行をよくする
- 口の中を乾かさない
- 丁寧な歯みがきを習慣にする
- バランスの取れた食生活を意識
- 定期検診を受けて早めにチェック
冷えにも乾燥にも負けない、元気な歯ぐきで冬を乗り切りましょう。
お口の中のちょっとした違和感でも、どうぞお気軽にご相談くださいね。
デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京)口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業 院長
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医(北仙台園、八乙女園、泉中央園、八乙女中央園、榴ヶ岡公園前園)
ぶんぶん保育園園医(二日町園、小田原園)
少林寺拳法中拳士三段
(2025年11月現在)



