口呼吸が引き起こす口臭と歯周病!

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こんにちは。仙台市青葉区の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。

最近、「口臭が気になるんです」「歯ぐきが腫れやすくて…」という相談をいただくと、実はその背景に “口呼吸” が隠れているケースをよく目にします。

日常の中で、

  • 気づいたら口がポカンと開いている
  • マスクをしていると鼻呼吸がしにくくなる
  • いびきをかく、寝ている時に口が開く
    こうしたクセがある方は、もしかすると口呼吸習慣がついているかもしれません。

口呼吸は「単なるクセ」のように思われがちですが、実は 口臭・歯周病・むし歯・見た目の変化(口元の形) にまで影響する、とても大きな問題です。
今日は、そんな口呼吸とお口の健康の関係を、じっくりとわかりやすくお伝えします。


口呼吸ってどんな状態?

本来、人は 鼻呼吸 が基本です。
鼻は

  • 外からの空気を温める
  • ホコリ・細菌をフィルターでキャッチする
  • 加湿して肺に負担をかけないようにする
    といった優秀な機能があります。

しかし、口呼吸になるとこれらの働きが使われず、空気が“むき出しの口の中”に直接入ります。
すると、口の中が急速に乾燥し、細菌が増えやすい環境に。

これが、口臭や歯周病のスタートラインになってしまいます。


口呼吸が口臭を引き起こす理由

「鼻呼吸から口呼吸に変わるだけで、どうして口臭が強くなるの?」
と思われる方も多いでしょう。

理由は、とてもシンプルで明確です。


(1)唾液が乾いて減るから

唾液には

  • 口の中の汚れを洗い流す
  • 細菌を抑える
  • におい物質を中和する
    という“万能効果”があります。

しかし、口呼吸になると口の中の水分が蒸発し、唾液の働きが弱まります。
すると、においの元となる細菌が増え、口臭が強くなってしまうのです。


(2)舌が乾くと舌苔(ぜったい)が増える

舌の表面に白っぽくつく汚れ「舌苔」は、口臭の大きな原因です。
乾燥すると舌苔が増えやすく、口呼吸の方は特に厚くなりやすい傾向があります。


(3)寝ている間の口呼吸は“最強の口臭源”

寝ている間は唾液の量が昼の1/5〜1/10に減ります。
そこへ口呼吸が加わると、さらに乾燥し、細菌が一気に繁殖します。

「朝起きると口がネバネバする」
「朝だけ口臭が気になる」
という方は、寝ている間の口呼吸が原因かもしれません。


口呼吸は“歯周病も悪化”させる

口呼吸の影響は口臭だけではありません。
実は歯周病にとってもかなりの悪条件になってしまいます。


(1)歯ぐきが乾くと炎症が進む

歯ぐきが乾燥し続けると、表面の組織が弱くなり、細菌が入り込みやすくなります。
その結果、

  • 歯ぐきの赤み
  • 腫れ
  • 出血
    が起こりやすくなります。

「歯周病は湿気の多いところで進む」というイメージを持つ方が多いのですが、実は 乾燥は大敵 です。


(2)酸素があると活発になる菌が増える

口呼吸で空気が直接流れ込むと、歯周病菌の中でも酸素を好むタイプが増えます。
これにより、歯周病がさらに進行しやすい環境に。


(3)口の中のpHバランスが崩れる

乾燥は、口の中を“酸性”に傾けます。
酸性状態は、むし歯菌や歯周病菌にとって快適な環境。
つまり、口呼吸は むし歯と歯周病の両方を加速 してしまうのです。


(4)免疫力も下がる

鼻呼吸は外からの細菌やウイルスをブロックする働きがありますが、口呼吸ではそのまま体内に入ってしまいます。
風邪をひきやすくなり、結果的にお口の免疫も低下し、歯周病が悪化することにつながります。


日常でできる“口呼吸チェック”

口呼吸は自覚しにくいものですが、次の項目に当てはまる方は要注意です。

  • いつも口が乾く
  • 無意識に口が開いていると言われる
  • 口を閉じると疲れる
  • 寝ている時、口が開いている
  • いびきをかく
  • 朝起きると口がネバネバする
  • 唇がよく乾燥する
  • 歯並びが狭い、上顎が細い
  • 舌の位置が下にある(舌が上あごにつかない)

当てはまる項目が多いほど、口呼吸習慣の可能性が高くなります。


口呼吸を改善する方法

ここからは「今日からすぐできる対策」をご紹介します。


① 鼻呼吸トレーニング

もっとも簡単で効果的なのは、舌の位置(舌の“定位置”)を整えること。

舌を上あごにつける“スポットポジション”
これをキープすることで、自然と口が閉じやすくなります。

《スポットポジションの作り方》

  1. 舌先を、前歯のすぐ後ろの“スポット”につける

  2. 舌全体を上あごに吸い付けるようにする

  3. そのまま鼻で呼吸

1日数分からでOKです。


② 水分をこまめにとる

口の乾燥対策は必須です。
冬はとくに意識して、

  • お湯
  • 常温の水
  • ノンカフェイン飲料
    などを飲みましょう。

③ 寝るときの口テープ

夜の口呼吸対策として「口閉じテープ」が有効です。
無理に閉じるのではなく、軽くサポートする程度でOK。

※鼻詰まりがある方は、まず耳鼻科で相談することをおすすめします。


④ 歯並び・かみ合わせをチェック

口呼吸は、歯並びや顎の形の問題が関わっていることもあります。
特に

  • 上顎が狭い
  • 出っ歯気味
  • 反対咬合
    などの場合、口が閉じにくくなることがあります。

気になる方は一度ご相談ください。


 “口呼吸は治せる” そして“改善すると健康が変わる”

口呼吸はクセのように見えて、実はさまざまなトラブルの原因。
しかし、逆にいえば改善することで、

  • 口臭が減る
  • 歯周病リスクが下がる
  • むし歯が減る
  • いびきが改善する
  • 見た目の口元が変わる
    など、多くのメリットがあります。

特に歯周病治療をしている方にとって、
口呼吸の改善は“治療の加速”に欠かせないポイント です。

「最近、口が乾く」「マスク生活で口臭が気になる」
そんな方は、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京)口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町 開業
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医
ぶんぶん保育園園医
少林寺拳法中拳士三段
(2025年11月現在)