*冬の“ネバネバ感”は危険信号?*

 |  |  | 0

 

 

 

こんにちは。仙台市青葉区二日町の歯科クリニック『デンタルフラッグ・ステージ二日町』院長 前澤訓(マエザワサトシ)です。
冬になると「なんだか口の中がネバつく」「朝起きたときの口が気になる…」そんなお悩みが増えるのをご存じでしょうか?

冬は空気が乾燥し、気温が低いこともあって、私たちの身体はさまざまな変化を受けます。その中でも意外と見落とされがちなのが “口の中の乾燥”
この乾燥が進むと、口の中がネバネバして不快感が増し、なんと 歯周病の進行を早めてしまう可能性がある のです。

今回は、冬の“ネバネバ感”が起こる理由と、その裏に潜むリスク、そして今日からできる対策についてお話ししていきますね。


冬になると口がネバつくのはなぜ?

冬は湿度が下がるため、肌や喉が乾燥するのは想像しやすいですが、実はお口の中も同じように乾燥します。
この乾燥により、唾液の量が減ったり、質が変化したりして「ネバネバ感」を感じるようになります。

冬にネバつきが増える主な原因は以下のとおりです。

① 暖房による乾燥

暖房をつけると室内の湿度は一気に下がります。
寝ている間も温風で乾燥し、口の中はカラカラに。

② 水分摂取量の減少

夏ほど喉の渇きを感じないため、無意識に水分が不足。
唾液が作られにくくなります。

③ マスクで口呼吸になりがち

マスクをしていると、口が開いていることに気づきにくく、
口呼吸になっている方が実はとても多いです。

④ ストレスや寒さで唾液の分泌が低下

緊張すると唾液が減るのと同じで、寒さで体がこわばると分泌量が低くなります。

⑤ 薬の影響

冬は風邪薬やアレルギー薬を飲む機会も増えますが、
これらの薬には“口が乾く副作用”があります。

これらが重なることで、冬は特に 口の中のネバつきが出やすい時期 なのです。


ネバネバ感は「歯周病のサイン」かもしれません

「口がネバつくくらい大したことじゃない」と思われがちですが、
実はこれは 歯周病が進んでいるサインのひとつ でもあります。

なぜネバネバすると歯周病が進むのでしょうか?

● 唾液が少ないと細菌が急増する

唾液には細菌を洗い流したり、抗菌作用や炎症を抑える働きがあります。
ネバネバしている状態は、唾液の量が減っているか、質が変わっている証拠。

細菌が増えやすい環境=歯周病が進行しやすい環境 となるのです。

● プラーク(歯垢)が歯の周りにくっつきやすい

乾燥すると歯垢が硬く粘り気を帯び、
歯ぐきの境目にこびりつきやすくなります。

これが炎症の原因になり、歯周病は一気に悪化。

● 口の中の環境が酸性に傾きやすい

乾燥して唾液が少なくなると、
お口の環境は酸性に傾き、むし歯と歯周病の両方が進行します。

つまり、ネバネバ感=細菌が活発になりやすい危険状態
とも言えるのです。


朝のネバつきが強い人は要注意!

特に冬の朝は、寝ているあいだに乾燥が進むのでネバつきを感じやすい時期です。

・朝起きると口が粘つく
・口が乾いて喉がイガイガする
・口臭が気になる
・歯ぐきがムズムズする

こういった症状がある方は、歯周病の初期症状が始まっている可能性があります。

特に 「朝のネバつき」 が強い方は、歯科でのチェックをおすすめします。


今日からできる!冬のネバネバ対策6つ

ネバネバ感は、普段の生活を少し変えるだけで改善しやすくなります。
すぐに始められる対策をご紹介します。


① 水分を意識してとる

寒い季節は喉が乾きにくいため、意識しないと水分不足に。
白湯や常温のお水をこまめに飲む習慣がおすすめです。


② 鼻呼吸を意識する

口呼吸は乾燥を一気に進めます。
マスクをしているときも、なるべく鼻呼吸を意識しましょう。


③ 室内の湿度を整える

湿度が40〜60%になるよう調整すると、喉や鼻、口の乾燥を防ぎやすくなります。
加湿器がない場合は、コップに水を置くだけでも効果があります。


④ 唾液腺マッサージで唾液の分泌をうながす

耳の下、顎の下、舌の付け根まわりを優しく押してあげると唾液が出やすくなります。


⑤ キシリトールガムを噛む

噛む刺激で唾液が増え、口の中が潤いやすくなります。
※砂糖入りのガムは逆効果なので注意!


⑥ 寝るまえの歯みがきに“+ひと工夫”

乾燥しやすい冬は、就寝前のケアが特に大事です。

  • 歯と歯ぐきの境目を丁寧にブラッシング
  • デンタルフロス・歯間ブラシをしっかり使う
  • 仕上げに保湿ジェルを使うのもおすすめ

寝る前にお口の中を清潔にしておくと、細菌の増殖が抑えられます。


冬は歯周病の“隠れ悪化”が増える季節

実は歯科の現場でも、冬は歯ぐきの腫れや炎症、出血を訴えて来院される方が増える時期です。
原因はまさに 「乾燥」

「風邪に気をつけなきゃ」という時期ですが、
じつは 歯ぐきの健康も冬にかけて悪化しやすい のです。

ネバネバ感はそのサインのひとつ。
早めにケアすることで、深刻な歯周病への進行を防ぐことができます。


まとめ ― 冬のネバネバは“見逃したくないサイン”

冬の口の中のネバつきは、単なる乾燥ではなく
“歯周病の前ぶれ”であることも珍しくありません。

● ネバネバ感は唾液不足のサイン
● 細菌が増えやすく歯周病が悪化する
● 冬は特に乾燥で症状が進みやすい
● 生活の工夫と早めのケアで防げる

気になる症状がある方は、ぜひ一度チェックにいらしてください。
些細なことでも、遠慮なくご相談くださいね。


監修:デンタルフラッグ・ステージ二日町 院長 前澤訓(マエザワサトシ)

宮城県仙台市出身
日本歯科大学生命歯学部(東京) 口腔外科第二講座大学院卒業
2010年 デンタルフラッグ・ステージ二日町開業
宮城県歯科医師会代議委員
宮城県歯科医師連盟評議委員
宮城県日本歯科大学校友会理事
社会福祉法人未来福祉会理事
仙台市立広瀬中学校校医
ミッキーこども園園医
ぶんぶん保育園園医
少林寺拳法中拳士三段
(2025年11月現在)